「敵なし」ナリタブライアン1994年皐月賞の舞台裏 衝撃の三冠達成から30年、関係者が語ったこと

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まずは主戦の南井克巳から。

「ボクが騎乗したオグリキャップ、タマモクロスとはタイプが違うが、ブライアンも一流馬としてのモノを持っている。前走でどんな競馬でもできることがわかったし、仕掛けてからの反応が鋭く、いい脚を長く使えるのもいい。1週前追いも軽めだったが、素晴らしい動きだった。前回は最後方から行ったが、今回はある程度前で競馬をさせたい。このまま順調に行けば大丈夫だと思うが、まだ対戦していない上がり馬がいるので、気を引き締めたい」

ナリタブライアンの世話をする持ち乗り調教助手の村田光雄はこう語っている。

「スプリングステークス後、気合乗りがガラッと変わってきた。カイバ食いで心配する馬ではないので前走と変わらない体重で出られるでしょう。中2週なので追い切りは水曜日(4月13日)にやっても上がりをサッとやるだけで十分。不安がないのが一番。順調。無事に来てくれたら結果はついてくると思います」

皐月賞はブライアンが勝つ

兄のビワハヤヒデを管理する浜田光正はこうだ。

「今、兄弟対決をやったら、ビワが負けることはないと思う。でも暮れの有馬記念で対戦したとすれば、ビワにとって強敵になるだろう。だから今からライバルの一頭として見ているんだ。皐月賞はもちろん、ブライアンが勝つだろうね」

ナリタブライアンが所属する栗東トレーニングセンターの診療所防疫課長・富岡義雄はこんなコメントを寄せた。

「首の使い方、後肢(トモ)の踏み込み、そのすべてが科学的に見て理想的なんです。加速する際に沈むように見えるのも、背中からトモにかけての力が強くてしなやかだからこそ。しかも、ブライアンは非常に筋肉が柔らかい。柔らかい馬は、得てして疲れがたまりにくいんですよ」

最後は生産者の早田光一郎だ。

「丈夫なのは、5代までアウトクロスになるよう配合しているからでしょう。アウトクロスのほうが丈夫な馬ができるようです。しかも、母親のパシフィカスが父親のいいところばかりを子供に伝えるようで、(ナリタブライアンは)馬体自体も父にそっくりですが、球節が窮屈な父と違ってブライアンにはそれがなく、まったく脚元に気になるところがないんですよ」

当時の記事はこう締めてある。

〈4歳春の時点では偉大な兄ビワハヤヒデを凌駕し、理想的なフォームを身に付け、血統から見ても丈夫でスタミナ、スピード、底力を兼ね備えたナリタブライアン。彼にとって皐月賞は、3冠達成のための第一歩にすぎないのかもしれない。〉

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