「同窓会は意味がない」という中高年に欠けた視点 認知症専門医が助言「60代こそ出たほうがいい」
さらに、年齢とともに、現役で働いていた人も引退していきます。
そうして、新しい体験を聞くチャンスがなくなり、定年後の悠々自適な暮らしをするメンバーで、同じ昔話をするだけになってしまうのです。
つまり、話に新しい情報がなくなるのです。
同窓会に情報を仕入れに行っているわけではないので、新しい情報は必要ないかもしれませんが、せっかく人に会って話をしても、いつも同じ内容では、脳を刺激するという意味においては、あまり役立たなくなります。
脳への刺激についてはさておいたとしても、心地いい昔話だとしても、同じ話を繰り返ししていては、しだいに飽きてくるようになるはずです。
同窓会に参加する人数も減っていき、やがて現役のときの半分にも満たなくなってくるはずです。それもしだいに減っていき、やはり同じメンバーばかりになってきます。
会話が脳に良いのは、新しい人に会って、多少の緊張を持ちながらするところが、脳には良いわけです。
しかし同じ仲間だけで会うのであれば、再会する新鮮味もなくなってきて、自分の病気の話と若いときの懐かしい話に限られてきます。
70歳後半になってくると、さらに参加者が減ってきます。そして、友人に会うたびに、だれかが亡くなったというような話になるのです。
以前は懐かしい昔話であふれていた同窓会も、最後は、同じ話をするばかりでなく、健康の話だけになってしまうのです。
最近、私が同窓会に出ても、健康相談を受けることが多くなってしまいました。
そうなってくれば、同窓会に出てきても、時間の無駄のように思えてくるものです。
せっかく同窓会に参加しても、ネガティブな話ばかりでは意味がありません。
同窓会に出ない勇気
「同窓会に出るな」という意見も、じつは結構あります。同じ話ばかりになって、意味がないから、というのが理由です。
どうせ会うならまったく新しい人、知らない世界の人にすべきという意見ももっともだと思います。
しかし、年齢とともにそれさえ面倒になってくるものです。
人間というのは、年齢とともに行動範囲が狭くなっていきます。老化とは、行動範囲が狭まることとも言えます。
だからこそ、「せめて同窓会くらいは……」と思うのですが、それすら面倒になってきます。
どうせ外出するなら、新しいレストランで食事をするほうがずっと脳にはいいかもしれません。
新しい刺激にならなくなった同窓会は、きっぱりと忘れてしまうほうがいいかもしれません。
いつもの仲間と会うなら、限られた仲間だけで会うだけ十分でしょう。