それまでの4日間でデービッドとはすでに協力関係はできていましたが、最後に聞いたこの話のおかげで、デービッドへの信頼は一回り太くなったように感じました。
コーチングにおける「アクノレッジ」と言われるものの重要性を、初めて体感した瞬間でした。
「ほめる」だけではダメな理由
さて、このアクノレッジメントの日本語訳としては、「存在承認」という言葉が最も近いと思っています。アクノレッジメントを英和辞典で調べても、「承認」としか出てきませんが、承認だけでは、なかなかその意味するところは伝わりません。
「承認」と聞くと、「ほめる」ことを連想される方もいるかもしれません。確かに「ほめる」というのは、相手が出した結果に評価を添えて承認していると言えます。つまり「結果承認」です。
ですが、相手のやる気を起こさせたり、エネルギーをチャージさせたりするコミュニケーションとして「結果承認」を使っていると、相手はいずれ何らかのタイミングで“ガス欠”になる恐れがあります。
ある英英辞典には、アクノレッジメントとは「その人がそこにいることに自分は気が付いている。それを相手に伝えること」と書かれていました。
これこそがまさに「存在承認」です。
先ほどの「結果承認」も広義にはアクノレッジメントのひとつです。しかし結果が出ていなくても、存在そのものを愛しく感じるようなアクノレッジメント、つまり存在承認が人には絶対的に必要になります。
そういう意味でデービッドが私たちに投げかけてくれた言葉は、まさにアクノレッジメントでした。「こんなことをあなたたちはしてくれた」という認識を共有してくれただけで、評価がそこにあったわけではないからです。
小さい子供は、「ねえ、見て!見て!」と、自分の周囲に何かを見つけては指をさします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら