赤羽の団地「スターハウス」その意外な住み心地 全国に点在、戦後の貴重写真と共に歴史に迫る

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スターハウスが建設された期間は、意外と短い。

日本住宅公団の団地では1960年代半ばまでの約10年間でスターハウスが集中的に建てられた。公営住宅では1970年代半ばで建設を終えている。

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これは戦後の住宅不足が克服され、住宅の大量供給の必要がなくなったことや、居住面積にゆとりのある住宅が普及してきたこと、ほかの住宅に比べて建設コストがかかることが理由にあるという。

塔状の住棟タイプでは、星型よりも空間を効率的に活用できる、正方形のボックス型が主流となったほか、スターハウスが発展して高層化・拡張化した巨大な住棟も登場。戦後に建てられた中層のスターハウスの役割は終えたのである。

現存するスターハウスの数

取り壊され、徐々に姿を消しているスターハウス。海老澤氏に現存する数を聞くと、日本住宅公団(現UR都市機構)が建てたスターハウスは286棟のうち33棟が現存している。さらに公営住宅では現在約110棟が確認できているという。

スターハウス 常盤平団地
現役の常盤平団地(千葉県松戸市)のスターハウス(写真:UR都市機構提供)

筆者はスターハウスに憧れ、これまで何度も空き情報が出ていないか調べてきたが、近年見つけることはできていない。

団地の歴史を肌で感じることができるスターハウス。文化的な価値が認められ、世間での認知度も高まるなかで、保存の取り組みもさらに広がっていくのかもしれない。

スターハウスのユニークな形には、敷地や景観への対応に加え、居住性を考慮した機能的な意味もあった。戦後に建てられた住宅のなかで、令和のいまも独自の存在感を放っている。

鈴木 ゆう子 ライター

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すずき ゆうこ / Yuko Suzuki

総合雑誌編集部、住宅誌編集部などを経て、フリーランスとして活動。趣味実用、住宅、インタビューなどを手掛けている。

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