もうひとつは家にまったく帰らないパターンだ。
「ゴミ屋敷に住んでいる人は、孤独で、人生が暗くて、仕事もうまくいっていない。そんなイメージを持たれている方がいるかもしれませんが、そうでもなかったりします。
身なりも綺麗で、仕事で少なくない金額を稼いで、タワマンなどのいい家に住んでいるけどゴミ屋敷というパターンも珍しくありません。せっかくの時間をゴミ屋敷で潰してしまうのはもったいないと、常に外に出てアクティブに過ごしている方もいらっしゃいます」
ゴミ屋敷とは別に、モノ屋敷という存在もある。その特徴は、虫が湧いたり臭いが発生したりはしていないこと。生ゴミなどの生活ゴミはきちんと処分できているが、とにかくモノが多く、生活スペースが極端に狭い。
このモノ屋敷にもパターンがある。まずは、買い物依存症のような状態に陥っているケース。モノに価値を見いだしているというよりも、消費行動がストレス発散になってしまっている。
「家に一人でいる時間が多い人の中には、モノが少ないと落ち着かないという人もいます。頑張ってお金を稼いでいるのに家に何もないと『何のために働いているんだろう?』という虚無感を覚えてしまい、モノに走ってしまう。そのモノたちを否定されると自分の人生までも否定されたような気持ちになってしまうんです。だから、解決が難しい」
このように、ゴミ屋敷やモノ屋敷には、心の問題が関わっていることが多い。しかし、高齢者の場合、そういった問題がなくとも「一人暮らし」というだけで部屋が荒れてしまう可能性があるのだ。
ゴミ屋敷は新居同然に生まれ変わった
現場に入ったスタッフは5名。荷物の量は少ないので、片付けは約1時間で完了した。しかし、今回は病院から帰ってくる母を綺麗な部屋で迎え入れることが最大の目的だ。片付けの後はハウスクリーニングを施していく。
キッチン、風呂場、洗面所の水垢はメラミン樹脂でできたスポンジ「激落ちくん」を使って磨き上げる。汚れやヌメリがこびりついている排水溝の部品には、漂白剤をかけてしばらく時間を置いた後、熱湯に浸ける。すると、擦らずとも汚れとヌメリが浮いて落ちる。
床もフローリング用洗剤とモップで汚れを落とす。から拭きした後は仕上げでワックスをかける。すると、子どもたちが目を疑ったゴミ屋敷は新居同然に生まれ変わった。病院から帰ってきた母親もきっと驚くことだろう。その姿が思い浮かんだ。
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