父はがんで母は鬱。そして家はゴミ屋敷。そんな状況を打破するため、娘が動いた。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
ゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長が、部屋を片付けられない人の意外な性格について語った。生真面目な性格な故、ゴミを溜めてしまうことがあるのだという。
家全体が不用品の倉庫になっていた
ゴミ屋敷と化した一軒家に住んでいたのは、依頼者である50代の女性の両親だった。母は2009年に亡くなった親の介護で鬱になり、そこから家にモノやゴミがためるようになった。ゴミ屋敷になってからすでに15年近く経っているが、なぜ片付けをするに至ったのだろうか。その理由を依頼者である娘が語る。
「母のことは父が見てくれていたんですが、急に父ががんで入院したんです。それで母の鬱がさらに酷くなりました。父は病院から帰ってきても、もう2階まで上がれません。リハビリの先生からも、“1階で暮らせるように家を整えてください”と言われたので」
退院後の父が過ごす予定の部屋は、腰の高さまでモノが敷き詰められていて、その上にはゴミの入った袋も散乱している。これではベッドを置くスペースもない。入院するまで父の部屋があった2階も、モノで足の踏み場がない状態だ。収納スペースはもちろん、廊下にもモノが積み上がっている。その大半は「使っていないモノ」で占められていて、家全体が倉庫になっていると言ってもいい。
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