古いレコードプレーヤーが3台に、90年代のものだと思われるパソコンもホコリをかぶったまま放置されている。大きな収納家具も目立つ。収納はカラーボックスやプラスチックの衣装ケースで済ませることが主流となった昨今だが、代々続く家には体積も質量も大きい高価な家具があることが多い。「嫁入り道具」はその典型だが、邪魔になっても捨てづらいのだ。
几帳面な人ほどゴミを捨てられなくなる理由
人一倍生真面目で几帳面だった母は、そんな家具の数々を処分することなど考えられなかった。それだけではなく、親がかつて経営していた会社の古い資料も何十年分と保管している。すでに畳んだ会社だというので、不要な書類も多くあるはずだ。
「母は几帳面すぎてゴミが捨てられないんです。ゴミは一日2袋までしか出してはいけないとずっと思い込んでいて、ゴミを捨てられない状態が続いています。母の中では“ちょっとモノを置いているだけ”という感覚なんですよ。私が片付けようとすると、“何やってるの? 何で捨てるの? 置いているだけなのに”と、後ろから延々言われるのでなかなか片付けが進まなかったんです」(娘)
「ゴミを捨てずに溜めてしまう人は几帳面じゃないだろう」と思う人もいるかもしれないが、この母親と同じ理由でゴミ屋敷になってしまうケースは少なくないそうだ。二見社長が話す。
「燃えるゴミの中に少しはプラスチックが混ざったりもすると思うんです。本当はキッチリ分けたほうがいいんでしょうけど、完璧を目指すとなるとかなり大変ですよね。プラスチックはプラスチックでまとめるにしても、たとえば牛丼の容器を洗剤で綺麗に洗わないと気が済まないとか、ゴミを捨てることに必要以上に責任を感じてしまう人がいるんです」(二見社長、以下同)
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