「父は癌で母は鬱」ゴミ屋敷の実家が片付けで激変【再配信】 几帳面な人ほどゴミを捨てられなくなる理由

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「“まだ使えるから”という理由でモノを捨てられない人には、“1年を通して使わなかったら捨てるようにしましょう”と伝えています。悪いことをしている気になってしまうのは分かるんですが、たとえばベッドを捨てたとしても私たちの知らないところでリサイクルされているんです。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、すべて分解されて、再利用できる資源は取り出されます。ベッドもひとつひとつ裂いて、中のスプリングは資源になっています」

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イーブイのような片付け業者や不用品回収業者が日頃から利用するのが、海外輸出だ。業界の間では「貿易」と呼ばれている。

「資源にならないゴミもゴミとして捨ててしまうと処理代がかかってきます。そこを浮かす意味合いでも、不用品の一部は東南アジアの発展途上国に送っています」

家具、食器、おもちゃなど、日本国内ではリユースできないうえに資源にもならないモノを引き取り、コンテナで海外へ輸出する専門業者がいるという。

「まずは自分の家や生活を最優先に考えていいと思うんです。ゴミとして捨てたものでも、回り回って誰かの役に立っていると思えば、罪悪感を覚えることもないでしょう」

(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

入院した父と、鬱になった母は

すっかりきれいになった和室(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

あらかじめ依頼者が不用品を仕分けしてくれていたこともあり、2日間で片付けは完了した。父が過ごす部屋にはベッドがひとつ。当初、片付けに反対していた母の様子を娘が話す。

「私が片付けだすとイライラする母が、(業者が片付けることを)どう思うのか、その気持ちを分かってあげる余裕もなく、ちょっとパニックになったり、“私、今いらん人”と考え出して鬱がひどくなっていく様子は見ていて辛かったです。でも、1階部分がスッキリした後はすごくいい笑顔になっていました。今はまたイライラしていると思うんですけど」

これで父も安心して退院することができるだろう。

片付けを終えた1階(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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