今回の依頼者である2人の子ども(長女・長男)が久しぶりにその部屋に足を踏み入れたとき、「母がこんな生活をしていたなんて」とショックを受けるほどに荒れていた。
すでに2人の手によってある程度片付けが済んではいるものの、今でもキッチンには飲みかけの飲料や食べかけのヨーグルトが放置されたままで虫が湧いている。ベランダに出ると、枯れた植物が雨ざらしになったままだ。トイレはカメラでは映すことができないほどに汚れきっていた。
母がだいぶ高齢になったということで、家は子どもたちで2年前にリフォームをしている。その際、荷物も減らし部屋はほぼまっさらの状態になったはずだった。
3人には父の月命日に集まって顔を合わせる習慣があった。ただ、2年前から母は子どもたちですら2階には上がらせてくれなかったという。そして、いつものように月命日に家に迎えに行くと母の姿がない。母はスーパーマーケットに買い物へ行った先で倒れ、救急車で病院に運ばれていた。
入院するにあたって服や日用品を病室に届ける必要がある。母が頑なに入れようとしなかった2階に上がってみると、ゴミ屋敷が広がっていたというわけだ。子どもたちにとっては想定外の出来事だった。
母は重い病状を子どもたちに隠していた
病院で検査をすると、母はいくつかの病気を患っていた。合併症まで引き起こしている状態で、とてもじゃないがすぐに退院できる様子ではない。母は病状を子どもたちに隠していたようだ。現場の見積もりを担当したイーブイの二見信定氏が話す。
「担当医にも病気のことは言われていたそうですが、お母様は子どもに迷惑をかけないようにとずっと黙っていたみたいです。一時はもう家には戻れないかもしれないと言われていましたが、しばらくすると体調も回復していつでも退院できるようになりました。お母様も40年近く夫と商売をしてきた家に思い入れがあり、“最後は家で迎えたい”という気持ちがとても強かったみたいです」
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