Z世代を不安にさせるビジネスがなぜ流行るのか 不安に動かされる「われわれ」の社会の病理
様々な不安に駆られるZ世代
この本は、とりあえずはZ世代と呼ばれる若者たちについて書いた本である。とりあえず、と書いたのは、実際にはZ世代の若者たちについて語ることを通じて、若者たちが映し出している現代の日本社会の構造についても検討している本だからである。つまり、この本は若者論であると同時に、現代のわれわれが生きているこの社会について論じている本であるということになる。
著者の舟津さんは本人の表現を借りれば「ゆとり世代」で「自己認識としては完全にオジサン側の」大学教員、ということになるが、客観的に見れば日本の経営学界の若手のスターであり、2023年に東京大学に専任講師として迎えられた新進気鋭の研究者である(ちなみに完全にオジサンである評者から見れば、舟津さんはまだまだオジサンとはいえない世代であり、「若手」という言葉はこのような評者の認識を反映している)。
研究者としてはすでに2冊の著書を出しておられるが、3冊目となるこの本は飄々とした文体で、ジョークとセルフつっこみ(個人的にはこれが気に入っている)を交えながら若者について、そしてわれわれの社会について語っている。
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