──世界でZ世代が話題ですが、日本での特徴は何でしょうか。
日本に明るい見通しを持てていないこと。企業の現金・預金や利益剰余金などの財務指標は、この15年ずっと右肩上がり。ただ賃金上昇に還元されておらず、社会がよくなっている実感はない。これが社会不安につながっている。
結果として、程よく賢く、自分だけ生き残ろうとする。一見すると丁寧でいい人が多いが、人に嫌われないように、好かれるように演技するのがとても上手だ。不安があって傷つきたくない。とにかくリスクを避けようとする。
例えば、都合が悪いと黙る。授業で学生の半分が課題を期限どおりに出さなかった。だが誰も謝らず、遅れてでも提出するとも言わず、提出したかと思えば期限が来ていないかのように振る舞う。怒られるのを避けるため、何もなかったかのようにやり過ごそうとする。利己的で短期的なリスク回避傾向が強い。
若者への接し方も無関係ではない。最近は「ほかの会社で通用するか不安」との理由で離職する「不安型離職」が話題で、若手社員への対応について研修が行われる。新卒内定者の保護者会を開き、大学でも教員が保護者対応を行う。新入生には高校までのようにクラスが用意され、教員が面倒を見る。
学校と会社の垣根も曖昧化して、日本社会は、根拠のない不安を抱えながらZ世代を育てている。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら