日活は「妙義山」のような映画会社を目指す 「極道大戦争」宣伝プロデューサーに聞く

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(C) 2015「極道大戦争」製作委員会
子ども向け映画から時代劇、サバイバル・ホラーまで幅広いジャンルの作品を手掛け、世界的な評価を集める三池崇史監督。監督が自身の原点であるVシネマ・スピリッツをよみがえらせ、あらん限りの暴走を尽くして完成させた『極道大戦争』が全国で公開されている。
神浦組の組長・神浦(リリー・フランキー)に憧れてヤクザになった影山(市原隼人)は、ヒットマンに襲撃された組長を守りきれずに死なせてしまう。実は“ヤクザ・ヴァンパイア”だった組長は、影山にかみつき後継者として託す。ヤクザ・ヴァンパイアは、カタギの血を吸うと、カタギはヤクザ化して無限に増殖を重ねていくという特徴を持つ。圧倒的多数となったカタギ・ヤクザvs.リアル・ヤクザの戦いの火ぶたが切って落とされる。さらに最凶ゆるキャラともいうべき謎のキャラクター「KAERUくん」も襲来、戦いはより激しさを増す――。
低予算、早撮りといった条件を逆手に取り、伝説的な怪作を作り続けてきたVシネマ時代の三池監督。「この辺で一度原点に戻りたい」という自身の言葉に応え、原作なしのオリジナル企画が進められ、〈ヤクザ映画+ヴァンパイア映画〉に三池流ブラックユーモアがちりばめられた本作が生み出された。「“まさかの”カンヌ国際映画祭出品」というニュースも話題となったこの荒唐無稽なエンターテインメント作品はどのように宣伝されたのか。その裏側を、本作の制作・配給を担当する日活の宣伝プロデューサー・小沼賢宜氏に聞いた。

「設定を瞬間的に伝えられる言葉をキャッチコピーに」

――「ヤクザ+ヴァンパイア」というエッジの効いたオリジナル企画を鬼才・三池崇史監督が手掛けるということで、熱狂的なファンにアピールするタイプの作品じゃないかと思うのですが、この作品の宣伝戦略はどのように組み立てられたのでしょうか?

僕個人としても、非常に楽しい映画だと思ったので、この作品が持っている魅力をどうやって伝えていくか、いろいろと考えました。この作品には、オリジナル作品だからこそできる表現の自由度があり、そこがいちばんの魅力になっている。そこはしっかりと伝えていきたいなと思いました。

――「噛まれたら、みんなヤクザ」というキャッチコピーはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

もちろんお客さま一人ひとりと対面して説明できるなら、どういう映画か理解してもらうことはできると思います。しかし、映画館に来ているお客さまとは一瞬でキャッチボールをしなきゃいけません。パッと目に入ったところで、この作品が持つオリジナル性をどう伝えられるのか。そのときにたとえば「○○サスペンス」とか「○○アクションエンターテインメント」という表現を使うよりは、「噛まれたら、みんなヤクザ」という、この映画の設定を瞬間的に伝えた方が、この作品の場合にはいいのではないかと思いました。それを踏まえて、宣伝期間中は、このワードを最後まで言っていこうということで進めました。

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