クラウドファンディングは「映画の種」だった

片渕須直監督がクラウドで資金を集めた理由

日本でいちばん多くの人に支持されたクラウドファンディングプロジェクト
およそ1年にわたるロングランヒットを記録したアニメ映画『マイマイ新子と千年の魔法』(以下、『マイマイ新子』)の片渕須直監督の最新作『この世界の片隅に』映画化プロジェクト制作資金の一部が、クラウドファンディングサービス「Makuake」で募集され、5月22日12時時点で2696人のサポーターが2956万3000円の支持を表明している。これは、国内の映画ジャンルにおけるクラウドファンディング史上、歴代第1位。なお、クラウドファンディングで集まった資金は、スタッフの確保や、パイロットフィルムの制作などに使用されるという。
原作は、第13回文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した、こうの史代の同名コミック。広島市江波で生まれた絵が得意な少女すずは、見知らぬ若者の妻になるために、20キロ離れた呉に嫁ぐことに。18歳で一家の主婦となったすずは、戦争であらゆるものが欠乏していく中、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。だが、呉は日本海軍の根拠地。何度も空襲に襲われ、庭先から毎日眺めていた軍艦が炎を上げ、市街が灰じんに帰してゆく。身近な大事なものが次々と奪われてゆく中、それでもすずは生きていく――。そんな物語だ。
大学在学中から宮崎駿作品に脚本家として参加し、『魔女の宅急便』では演出補を務めるなど、ポスト宮崎駿として注目を集める片淵監督に、制作資金調達にクラウドファンディングを利用してみて感じた手応え、アニメ界の現状などについて聞いた。

 

目標の2000万円を突破し、3000万円に届く勢い

――クラウドファンディングで目標額となる2000万円超えを達成し、サポーター数は国内クラウドファンディング史上最高人数を更新中となり、日本でいちばん多くの人に支持されたクラウドファンディングプロジェクトとなっています。現在の率直な心境は?

 率直にうれしいということと、味方になってくださる方の姿を確かめることができたことが心強かったですね。『マイマイ新子』や『この世界の片隅に』のような作品は、なかなか普通の映画ファンには注目してもらえない。一方のアニメファン側からしても、自分たちが観る対象ではないと思われがちな作品です。

しかし、(1963年の「鉄腕アトム」で)アニメがテレビで放送されるようになって今年で52年。「アトム」からちょうど10年後くらいたった1974年に「宇宙戦艦ヤマト」が放送され、そこからアニメブームが起こりました。そうした頃のアニメファンは、今は40代から50代くらいでしょうか。となると当然、作る側も観る側も、興味の対象が変わってくるはず。こういった作品を求めているんじゃないか、といった確信は心の中ではあったんですが、それをあらためて確認できて、心強かったですね。

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