日活は「妙義山」のような映画会社を目指す 「極道大戦争」宣伝プロデューサーに聞く

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――この作品のターゲットは?

作品によって当然違ってくる部分ではありますが、この作品に関しては、若い人たちに観てもらいたいね、という思いを、宣伝部みんなで共有していました。もちろんこの世代だと、ストレートな極道ものを観ているという人はなかなかいないでしょうが、この作品の中身を観てみれば、KAERUくんというポップな着ぐるみは出てきますし、噛まれたらヤクザになるという飛躍した世界観もあります。そういった部分で若い人にも楽しんでもらえるのではないかと思いました。

予告編映像がどんどん短くなっている

小沼 賢宜●おぬま よしたか 1982年生まれ。日活宣伝部所属(映画配給チーム宣伝プロデューサー)。宣伝担当作品は『凶悪』『TOKYO TRIBE』『極道大戦争』『Mr.Children REFLECTION』など。

――映画宣伝の仕事というものは具体的にどのようなことをしているのでしょうか?

もちろん作品によっていろいろですが、この作品に関して言えば、昨年5月に撮影をしてそこから宣伝は始まりました。当然、撮影に入るにあたっては脚本があり、その前には、こういうような作品を作りますという意思表明的な企画書があります。それらを踏まえて、この作品をどう伝えていきましょうか、と話し合うことが宣伝の仕事におけるいちばん初めのタイミングとなります。

手始めに、映画の撮影中にカメラマンさんにお願いして、宣伝に使うための現場の写真を撮ってもらうところから始めました。

次は映画が出来上がったタイミングで実際に映画を観ます。それからこの作品をどうやって伝えるかをあらためてスタッフで練っていきます。そこからポスターを作ったり、チラシを作ったりといった具体的な作業に入っていくわけです。その後、マスコミの皆さんや一般の方などに観ていただくという流れになります。

――予告編もそのタイミングで作られるわけですか。

そうですね。今はウェブ媒体が力を持ってきていますし、メディアの質もいろいろと変わってきています。しかし、そんな状況でも、一般の方からのアンケートで、「映画を観たきっかけは?」という質問の答えで多く返ってくるのは「映画館で観た予告編」なんですよ。これは昔からそうで、メディアが変わっても予告編の重要性は変わらないと思います。

ただ最近は映画館もシネコンが大半で、そこで上映される作品も増えてきています。そんな中で、2分も3分もあるような予告編を作ってしまっては、すべての上映作品を紹介しきれないという状況が生まれてきました。

――確かに、映画上映前の予告編の時間はせいぜい10分から15分程度ですからね。

もちろんそれは映画館側の立場に立てば当然のこと。毎週のようにあれほど多くの映画が公開される中では、1本だけに多くの時間は割けません。必然的に、1本ごとの予告編の時間は短くなってしまいます。『極道大戦争』でいえば、予告編は60秒で作っていますが、全体的にどんどん短くなっている状況にはありますね。その中で作品が持つ魅力を伝えるためには、言いたいことを凝縮しないといけない。そこは難しいところではありますね。

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