とうとう東大を狙える位置まで来た江森さん。しかし、上がる成績とは裏腹に、試験が近づくにつれて不安に押しつぶされそうになったそうです。
「この年はセンター試験で800点いかなければ東大には出願しないと決めていました。でも、去年の失敗がトラウマになっていたのでセンター試験の会場に行く前には泣いてしまいました。大丈夫だと思っていた数学Ⅱ・Bではコケてしまい、ショックすぎて採点したくありませんでした。
ただ、恐る恐る採点したら、なんとか805/900点だったので東大に挑戦する決心がつきました。ちなみに、後で採点を間違えていて820/900点だったと知りました。今となっては自分の中で800点未満だったら東大を受けない、と勝手な基準を設定しなくてもよかったと思いますけどね(笑)。世界史で9割取れたのにも、救われましたね」
センターの点数を見て、東大の文科Ⅲ類に出願した江森さんは、併願で早稲田大学の政治経済学部・商学部の一般入試と、センター試験利用入試で明治大学の政治経済学部を受験します。
明治の政治経済学部の合格を掴んだ江森さんは、早稲田の政治経済学部と商学部の結果発表を迎える前に、東大の2次試験に臨みました。
「東大の試験では、どの科目に対しても『できなかった』とは思いませんでした。これで落ちていたら、これ以上の力は出せないかなという気持ちでした」
早稲田は不合格と補欠で、気持ちが焦る
こうして迫ってきた運命の東大の結果発表。早稲田大学の政治経済学部は不合格で、商学部も過去5年繰り上がりがなく、ほぼ望みがない補欠合格だったことで、とても焦っていたそうです。
「早稲田の結果を見て、東大も落ちているかもしれないと思い、死ぬ気で一橋大学の後期試験対策をしていました。東大の合格発表の日はもう、結果を見るのが怖すぎて、(合格の番号が)開示されてから1時間は見れませんでした。
『見れない、見れない』と言ってずっと泣いていたのですが、母親に『バンジージャンプは飛ぶ前がいちばん怖いんだよ、飛んだあとは意外となるようになるよ』と言われて、ようやく勇気を出して見ました。そしたら(番号が)あって……。母も父も、泣いて喜んでくれました。あの瞬間を上回る感動はいまだかつてなかったですし、今でもありません」
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