東京大学では「進学振り分け(進振り)」と呼ばれる、1年生・2年途中までの成績をもとに、3年生から学ぶ学部を決めることができる制度があります。
経済学部に進む人の多くは、文科Ⅱ類からです。江森さんは理系コースを選んだために、理科Ⅱ類に入って、入学後も好成績をキープし、経済学部に進学しようと考えていました。
「東大の文系は社会科が2科目必要なのですが、理系クラスでは社会の授業を受けられませんでした。私自身、数学I・AとⅡ・Bが得意でしたし、物理・化学も好きだったので、高2の時点ではその戦略のほうが受験で戦えそうだと思っていたんです」
高校2年生までの模試の東大の判定も、B~A判定で安定しており、合格は射程圏内だと思えたそうです。しかし、高校3年生になった途端に模試の判定は急降下し、一気にE判定ばかりになってしまいました。
合格最低点に20点足りなかった
「高2のときまでは 英数国で模試の判定が出るのですが、高3になって数Ⅲと物理・化学が入ってきた瞬間に、がくっと判定が下がってしまいました。結局、センター試験も750/900点に終わりました。当時通っていた東進でリサーチしたところ、去年私と同じくらいのセンターの点数で東大に受かった人が2人くらいしかいなくて。
この時点である程度、受からないことを察しました。本番で点数が上振れたら、もしかしたらいけるかもしれないと思いましたが、苦手だった数Ⅲが全然解けなくて、絶対に受からないと確信し、ホテルで泣いてしまいました。泣くほど努力してないくせに、悔しさはあったんです」
結局、この年は合格最低点から20点ほど足りず、不合格になってしまいました。
この年の受験で落ちてしまった理由を、彼女は「危機感がなかったため」だと考えます。
「私は誘惑に負けやすいタイプでした。実家に自分の部屋がないので、家族の話し声が聞こえたら話に入ったり、弟の弾くピアノを教えに行ったり。母親がドラマを見てたら一緒に見てしまっていました。なまけてしまったんです。
予備校でも友達と話すのが楽しくなって、休憩時間を10分にするはずが30分になってしまったり、帰り道にスタバに寄り道したりとか……。100%本気で打ち込めていないという気持ちがあって、その状態でE判定が出てしまうのはしょうがないと、心のどこかで思っていました」
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