「始動 Next Innovator」は日本を変えるか 次世代イノベーションを起こす仕掛けとは

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<トヨタの生産技術部門を経て独立したデジタルコラボレーションズの石井達久氏>

日本の製造業のIT活用は、諸外国の技術・サービスにあわせることで進んで来たため、かえって日本らしいものづくりの仕事の仕組みが失われています。

製品の3DCAD、PLM(製品ライフサイクル管理)、ERP(資源管理計画)などの表層的なデータを管理するのでなく、製品開発やトヨタ生産方式などの基本的な理念の考え方の実践に貢献するIT活用が必要です。設計、生産の現場で人と人のコミュニケーションを充実し、お互いの知見を統合する、日本の製造業の競争力向上のためのIT活用を実現するためにプログラムに応募しました。

<小型赤外線センサ機器を開発するベンチャーTakumiVisionの片桐一樹氏>

当社は大学発ベンチャーであり、研究開発を主体に事業を行っています。しかし、研究開発型であるがゆえに、用途開発を見据えたビジネス展開は不得手です。これを製品開発型に変革するために、誰の役に立つのか、製品の優位性はあるか、市場規模はどうかといった点を体系的に考え、実行する必要があります。今回のプログラムを通じ、起業家としてのスキルとマインドを習得し、世界に通じるベンチャーを作りたいと思います。

グローバルな架け橋への第一歩

懇談会であいさつするクオンタムリープの出井伸之代表取締役ファウンダー&CEO

活力ある日本経済を築くためには、既存プレーヤーの設備投資や生産性の向上だけでは不十分です。まったく新しいビジネスモデルや先端的な技術で市場に参入し、経済社会や産業構造全体に大きなインパクトを与える、ダイナミックなベンチャーと新事業を連続的に生み出していくことが必要となっています。このため、意欲ある人材や企業と、シリコンバレーをはじめとする世界の先端地域を「架け橋」でつなぐことで、「ベンチャー創造の好循環」を日本に作り出していかなければなりません。

「始動 Next Innovator」は、その第一歩。異なる分野から集まった122人は、シリコンバレーを目指すライバルであると同時に、次世代のイノベーションを担う仲間として、新しいことに挑戦するコミュニティを形成することを期待しています。

開始式後の懇談会は、1次選考の選抜者たちの熱気にあふれ、新しいプラン、取り組みについて話し合う声が、夜遅くまでホールに響き続けていました。新プロジェクトは好スタートとなったと思います。

石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官

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いしい よしあき / Yoshiaki Ishii

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官。1965年生まれ。1987年、岡山大学法学部法学科卒業。1996年、カリフォルニア大学バークレー校 留学(公共政策 単位履修生)。2000年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年、早稲田大学大学院商学研究科卒業(商学博士)。1987年、通商産業省(現・経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年、同省工業技術院国際研究協力課、2000年、中小企業庁経営支援課、2003年、経済産業政策局産業組織課、2006年、中小企業基盤整備機構資金支援課、2007年、同ファンド企画課、2008年、大田区産業経済部産業振興課課長、2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年から現職。

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