7月10日、日本ベンチャーキャピタル協会の総会が開催され、業界をリードする新役員が選任されました。前例のない40代の会長として、仮屋薗聡一氏が就任。新しいプレーヤーの台頭により、変わろうとするベンチャーキャピタル業界。本稿では、ベンチャーキャピタル業界の変化と今後について取り上げます。
そもそもベンチャーキャピタルとは何か
アップル、グーグル、フェイスブックなど、米国の成長企業が生まれる背景には、ベンチャーキャピタルによる資金供給と経営支援があるとされています。米国ベンチャーキャピタル協会(NVCA)の調べでは、ベンチャーキャピタルの投資した会社が、米国の民間雇用の11%を生みだし、その売り上げはGDPの20%を占めるとも言われています。新しい成長企業を創出するエコシステムの中心にベンチャーキャピタルが存在しています。
ベンチャーキャピタルとは、①投資家から資金を集めてファンドを作り、②ファンドから複数のベンチャー企業に投資をして株式を取得し、③投資先企業の経営を支援して成長を促進し、④当該企業のIPOやM&Aを機に株式を売却しキャピタルゲインを得て、⑤その収益を投資家に分配するという事業を展開しています。その過程において、ファンドの管理報酬と成功報酬(一定以上の投資リターンを投資家に分配できた時の報酬)で収益を得ています。
ベンチャーキャピタリストは、ファンドの出資者にしかるべき収益をもたらすという責務のもと、多くの投資先候補の中から成長可能性のある企業を見つける「目利きの力」、投資先企業に対して株主として経営に関与し、企業価値を向上させる「支援の力」によって活動しています。
ベンチャー企業の経営は、「テクノロジーリスク×マーケットリスク×マネジメントリスク」と言われています。新しい技術やビジネスモデルが市場に投入できるまでになるか、市場が想定していたとおり存在し成長するか、経営陣がきちんと成長をコントロールし企業を運営できるか、というリスクです。これらは掛け算の関係になっていて、いずれかがゼロになると全体がゼロになります。このようなリスクを考えて投資先を目利きし、経営を支援するのがキャピタリストです。経営支援としては、起業家の目線を上げる、マネジメント人材を紹介する、販路や事業提携の相手を探す、などキャピタリストの経験や人的ネットワークを活用します。
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