今回のベンチャーキャピタル協会の総会では、このような業界の追い風を背景に、新しい業界団体としての体制と活動が発表されました。協会の会長には、グロービス・キャピタル・パートナーズで数々の成功案件を手掛けてきた仮屋薗聡一マネージング・パートナーが前例のない40代の会長として就任。三菱UFJキャピタルの安藤啓社長が副会長に、赤浦氏や郷治氏が常務理事に着任し、ともに業界団体をリードすることになりました。
仮屋薗氏は総会あいさつで、今後、日本ベンチャーキャピタル協会が担う役割として、①ベンチャー企業や起業家の成長するベンチャーエコシステムの形成、②キャピタルとしての機能向上で投資資金が流れ込むファンドエコシステムの形成、③大企業をはじめとする産業界や大学と連携してのオープンイノベーションの推進を力強く宣言しています。
ベンチャーキャピタルが産業となるための課題
このように、大きな変化が起きているベンチャーキャピタル業界。産業として大きく発展することで、ベンチャー企業が多く生まれ、成長するためのベンチャーエコシステムの実現に貢献すると考えられます。そのためには、現状、次の点が課題となると言われています。
まず第1に、キャピタリスト人材の不足です。独立系の活躍や若手の出現などがあるものの、現在の日本には、海外のキャピタリストと比肩できる能力を持ったキャピタリストとして活躍できる人材の絶対量が不足しています。これは、一朝一夕には解決できるものではなく、時間をかけて取り組むべき課題です。
ビジネス環境の変化の激しい現代において、ベンチャーのリスクを見極めて目利きをし、経営支援をするために最も適した人材は、実際に自分で起業し、企業を成長させた人材や、企業で新事業を創出することに成功した人材と言われています。現在、米国で最も人気のあるベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツは、ネットスケープ創業者のマーク・アンドリーセンとITベンチャーで成功したベン・ホロウイッツが、起業家の立場に立って運営するベンチャーキャピタルとして創設し、フェイスブック、ツイッター、スカイプなどに早い段階で投資し成長を促進し、大きなリターンを得ています。
このような、起業家出身のキャピタリストや、企業で実際に新事業を成功させた人材によるキャピタリストは、現在の日本ではまだ少なく、今後、増えることが期待されています。特に、起業家として成功した人がまだ少ない日本では、大企業等で新事業の経験を持つ人材の流入が必要かもしれません。
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