「エウレカ」が米企業にバイアウトしたワケ 米巨大メディアは何を手に入れたかったのか

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左が筆者、右がエウレカの赤坂優CEO
安倍晋三首相もシリコンバレーを訪問し、国を挙げて日本のベンチャー企業の世界への挑戦が叫ばれている。そんな中、日本のベンチャー企業であるエウレカが、米国ニューヨークを拠点とするナスダック上場メディアグループであり、Match、Tinder、Vimeoといった有力インターネットサービスを有するInterActiveCorp(IAC)にM&Aされた。シリコンバレー進出を目指す日本のベンチャー企業は多いが、米国企業が自ら日本にあるベンチャー企業をM&Aすることは珍しい。
米国IACがエウレカをM&Aした理由とは? エウレカの赤坂CEOに「世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?」の著者である塩野誠が聞いた。

 

バイアウトまでの経緯は?

塩野:エウレカを米国ニューヨークの大きなメディアグループにバイアウト(売却)されたわけですが、今回は創業者のお二人(赤坂CEOと西川COO)で相談してバイアウトが決まったのでしょうか。このM&Aまでの経緯を教えていただけますでしょうか。

InterActiveCorpが保有しているブランド

赤坂:エウレカは創業から6年経つのですが、創業当初から「自社サービスをグローバルへ」を掲げてきました。

2年半前にpairsが生まれ、日本と台湾で会員220万人を突破し、1年前にCouplesが生まれ、日本で220万ユーザーを突破しました。しかし、世界で大きな勝負に出るには、強力なパートナーが必要だと常に感じていました。

その中で、Match、OKcupid、Meetic、Tinder、Vimeo、Ask、about.comなどを運営し、オンラインデーティングへの理解があり、オンラインデーティングやメディアで世界で勝ち続けているIACは、私たちにとって最高のパートナーでした。

塩野:なるほど、エウレカの事業成長スピードは驚異的ですね。リリースから2年半でPairsは会員220万人、Couplesは1年で220万ユーザーと爆発的に伸び、利益も潤沢だったようですが、どうしてそんな成長が可能になったのでしょうか。

赤坂:サービス開発において、当たり前の事をやり続けているだけです。というと生意気だと思われてしまうかもしれないですが、これは本当の話で、「どうしたら会員登録をしてくれるかを考える」とか「他のアプリの良いところを徹底的に研究する」とか、誰でもできる当たり前のことの繰り返しだと思っています。こういう当たり前のことを、土日も、寝る前も、起きた瞬間もいつも考え続けています。これは私だけではなく、メンバー全員です。結果は、その積み重ねでしかないと思います。

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