「エウレカ」が米企業にバイアウトしたワケ 米巨大メディアは何を手に入れたかったのか

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塩野:バイアウト先のIAC/Match Groupはどんな会社ですか。なぜ、日本ではなく海外の会社へのバイアウトだったのでしょうか。

赤坂:我々の価値を最も理解してくれ、Match Groupのトップが著名な起業家であり、人事評価、採用、事業意思決定、オフィスなどのカルチャーを大事にしてくれたからです。また、本気で海外展開をやりたい我々にとって、日本の中だけでパートナーを探す必要はありませんでした。

塩野:IAC/Match.comのトップとはどんな話をしたのでしょうか。

赤坂:先ほどもお話ししたMatchグループのCEOであるサムは、元々OKcupidのFounderです。彼自身が起業家なので、我々起業家への理解はとても高かったです。

エウレカにとってスタッフが最も大事なので、人事評価、採用、カルチャーなどは一切変えるつもりはない、ということをすぐに理解してくれました。

サムが「君たちが必要と思うことは全てやった方がいい、それが、エウレカがここまで成長できた理由だと思うから」という言葉をくれたのはとても感謝しています。

また、世界レベルでどうマーケットを取りに行くかという話もしました。

こうして世界で戦うパートナーを得られたことは本当に幸運だったと思います。

塩野:今後は米国ニューヨークのIACグループに入ることによって、どんな成長戦略を描いているのでしょうか。

赤坂:pairsは、2年後の2017年に、日本、台湾、香港、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシアの9カ国でNo.1のオンラインデーティングサービスに成長させます。Couplesは、2年後の2017年に、カップル向けコミュニケーションアプリとして世界でNo.1のユーザー数に成長させます。

その為に、足下で、2015年中にpairs会員300万人、Couplesユーザー400万人を目指します。また今後、より会社を発展させていく上で必要な新規事業も行う予定です。

また、pairsに限って言えば、pairsを通して出会って結婚された方たちも相当な数になり、多くのユーザーから「幸せレポート」をいただいています。未婚率の増加に歯止めをかける一つの手段としての社会的意義も感じているので、今後も日本でのオンラインデーティングの普及にはより力を入れて行きたいと思っています。

塩野:エウレカはアジアでもユーザーが増えているそうですが、今後のアジア戦略はどうなりますか。

赤坂:現在、pairsは台湾で80万人の会員がおります。これを2017年末までに台湾単体で200万会員まで伸ばしたいと考えています。また年内に東南アジア向けにスタートする英語版も、2017年末までに100万会員を目指しています。2017年末までに日本、台湾、東南アジア合計でpairsは700万会員に成長させる予定です。恋愛、結婚は国によって文化が異なるため、各国のカルチャーマーケティングを慎重に行っていくつもりです。

Couplesは、年内に台湾版をリリースし、台湾でのユーザーを伸ばす予定です。その後、英語版の展開も視野に入れており、2017年末までに日本、台湾、英語圏合計で1000万ユーザーを目指しています。

塩野:野心的かつ具体的な数字ですね。最後に日本の起業家、そして起業したい人達にメッセージをお願いします。

赤坂:「思ったよりも世界との距離は近い」と考えた方が良いです。私は「世界で10億人に使ってもらえるサービスを作る」というのを会社の目標に掲げています。

Facebookが13億人、Twitter、Instagramが3億人、LINEが6億人と考えると、果てしなく高い目標のように思えますが、実際にFacebookやTwitterができているなら、できる気がするというのが本音です(笑)。
人は見える範囲にしかいけないので、「目標は高く」、これが一番大事だなと思います。また自戒の念を込めてですが、これからは国際競争が激化してくるのは確実なので、英語力は必須ですね。

塩野:「人は見える範囲にしかいけないので目標は高く」はシンプルで重い言葉ですね。本日は有難うございました。

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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