86歳のムーア博士が講演会で語ったこと 「ムーアの法則は限界が近づいている」
「予想がこんなにまで正しいとは思わなかったし、しかも10年以上続くとは思わなかった。50年も続いたこと自体が驚きだ」。5月11日、いわゆる「ムーアの法則(半導体の集積密度は約2年で倍増する)」を提唱した、半導体大手インテル共同創業者のゴードン・ムーア博士は、法則誕生50年を祝うイベントに集まった観客の前で感慨深げに語った。
今年、86歳になったムーア博士が、この法則を雑誌で発表したのは1965年4月のこと。今回のサンフランシスコで開かれた記念イベントにはインテルのブライアン・クルザニッチCEOはもちろんのこと、グラフィック処理向け半導体を手掛けるエヌビディアのジェン・スン・ファンCEOなどを含む、半導体業界の大御所が集まった。
ムーアの法則で可能になったこと
インテルでは、まさにムーアの法則に則る形で将来のロードマップを描き、半導体の集積度を高めてきた。
1971年に開発したマイクロプロセッサ「4004」には、2300個のトランジスタが搭載されていたが、1979年の「8088」には2万9000個、1995年の「ペンティアムプロ」には550万個が搭載された。さらに、今年発表された、第5世代Coreプロセッサには13億個ものトランジスタが集積されている。
価格も下落し続けている。インテルの場合、最新のCore i5と4004を比べた場合、性能は3500倍になった一方、コストは6万分の1に縮小している。
集積度の向上により、当初は、単純な計算しかできなかったコンピュータは、様変わりした。今では、話しかけると、その音声を認識して解析し、適切なメッセージで応える、という複雑なプログラムを瞬時に処理できる。またコストが下がったことにより、タブレット、スマートフォン、ビデオゲーム、スマートウォッチなども一般消費者向けに作れるようになった。近年は、スマートホームやモノ同士がネットでつながるIoT(モノのインターネット)も広がりを見せている。
ムーア博士は27歳のときにトランジスタを発明。1957年にノーベル賞を受賞した故ウィリアム・ショックレー博士に雇われた。その後、フェアチャイルドを経て、1968年に故ロバート・ノイス氏とインテルを設立している。
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