「仕事がつらい」モードを切り替える正しい休み方 「闘う」でも「逃げる」でもない第3の選択肢

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無気力な状態やぼんやりした感じが続き、特に気圧が低くなると、ずきずきと頭が痛くなるとともに気分が悪くなり、身体の重さと気分の落ち込みが増して、寝ても寝ても眠気が取れずにずっとだるさを抱えてしまいます。疲労感が抜けず、抗うつ薬もあまり効果がみられません。

別のBさんは、仕事で詰められすぎて、明らかに無感情・無気力になっているのに、「生ける屍」のように服従的に働き続けていました。明らかに体調が悪そうなのに、「つらいとかはあまり感じないので、大丈夫です」といって、産業医の休職勧告にも応じずにずっと働いていたのです。

エンジニアのCさんは、会社で強い口調の上司に幾度となく詰められていました。「なぜ?」「根拠は?」と執拗に聞かれても、頭が真っ白になって答えられず、反論もできなかったのです。

もともと優秀なコーディングの能力を持っていましたが、頭がどんどん働かなくなり、その上司が同じ部屋にいるだけで固まったようになり、パフォーマンスをまったく発揮できず、出社ができなくなってしまいました。

「フリーズ(凍りつき)」という「あたらしい」防衛反応

だるい、寝ても寝ても眠気がとれない。何も考えられない、服従的、真っ白になり、固まってしまう。朝起きて活動をしようとしても、どうしてもエンジンがかからない。気力も体力も奪われてどうしようもない状態を、どうすればいいのか。ここを紐解く1つのワード、それが「凍りつき」(Freeze)です。

例えば、闘うことも逃げることもできないとき、野生動物はどうなるでしょうか。抵抗せずに固まって、「死んだふり」をします。

目は虚ろになり、意識をぼんやりとさせ、痛みを感じにくくなります。その方が、敵にとどめを刺されにくいということを、生得的に知っているのです。

つまり、「固まる(フリーズする)」というのは、闘うことも逃げることも不可能な場合にその場をやり過ごし、生きる可能性を高めようとする防衛手段なのです。

これは、闘う(Fight)か逃げるか(Flight)という交感神経的な防衛反応とは異なる、3つ目のF=凍りつき(Freeze)と呼ばれています。

そして、それをつかさどっているのが副交感神経の中心を占める迷走神経の背側の枝であると、主張したのが心臓の生理学者スティーブン・ポージェスです。副交感神経は、休息・リラックスを担当するだけではなく、戦うことも逃げることもできない危機におけるフリーズ反応を担当しているのです。

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