おそらく、ここに同社の言い分の苦しさがあり、さらに第三者も反応している点だろう。
もちろん無数の詐欺広告が存在しているのはわかる。すべてを完全に消去するのは難しかろう。ただし、詐欺広告を出す側からすると、費用対効果がなければならない。とすれば、必然的に有名人の詐欺広告が増えるはずだ。
しかも、今回、本物の有名人が「自分が詐欺広告に使われた」と宣言していた。相当数が本人から同社へ、直接のクレームが届いていたと思われる。上位アカウントだけでも、広告から削除するのは、それほど時間がかからない。しかし、当事者が実感できるほどは、削除されていなかった。
私が興味深いのは、Meta社の社員が、どれだけ一連の詐欺・なりすまし広告にクリックしていたか、だ。社員でなくても、Facebookを利用していれば、その詐欺広告の存在には気づく可能性が高い。そう考えると、おそらく相当数の社員は気づいていて、しかしながら放置していたのではないだろうか。
一般ユーザーとMeta社の社員が、どれだけ反応したかをカイ2乗検定(編補:2つの変数に対する2つの観察が、互いに独立かどうかを検定する)などすれば面白いだろう。同社の社員がわかっていて放置したのだとすれば、内部告発などが期待できるだろう。
Meta社の優位性
ところで、これは私ではなく、私の属する会社なのだが、かつてFacebookで広告を出した。多額ではなかったが、「あ、こんなに簡単に出せるんだ」と驚きがあった。
他社はかなり審査などが細かったり、通った後でも突然に停止されたりする。それに対して、Facebookは利便性が高く、融通が利いたのは事実だ。詐欺以外の、まっとうな広告を出している主がいれば、私と類似の感想を抱いただろう。
小資本でも広告が出せ、さらに自社のフォロワーに近い属性の方々に広告を打てる。これは間違いなくMeta社(当時のFacebook)が起こした革命だった。だって、マーケティングではリストが最重要といわれていたのに、リストすらなく広告が打てたのだから。
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