外で遊ぶスマホゲーム「Ingress」、真の狙い グーグルがゲームで仕掛ける次の野望

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――開発する上で参考にしたゲームや映画、小説などはありますか。

今まで読んできたSF小説やSF映画などが、少しずつ影響を与えていると思う。Ingressのストーリーは、コンピューターが人間に反逆するといった、私が大好きなサイバーパンクの世界観が基になっている。SF作家のニール・スティーヴンスンやウィリアム・ギブスン、さらに日本のアニメの「攻殻機動隊」も好きで影響を受けている。

今年3月に京都で開催されたイベント「Shonin」に参加した、グーグル副社長でナイアンティック・ラボ創業者のジョン・ハンケ氏。ジョン・ハンケ氏はKeyholeを立ち上げ、のちにグーグルアースとなるサービスを開発して04年にグーグルに買収された。その後、Googleマップやストリートビューを手掛けた経験を持つ

あとは「リスク」という戦略ボードゲーム。メカニズムとルールはシンプルだが、非常に複雑で戦略性に富んでいる。

――Ingressはグーグルマップを基にしているが、開発上の制約はなかったのか。

確かにグーグルマップをベースにして開発したが、Ingressは銅像や芸術作品、歴史名所などのポータルを巡り歩くゲームとなっている。グーグルマップ上にそうした情報がなかったので、新たに作る必要があった。まずは世界中から20万か所のポータルを選ぶために、ジオタグ(写真に付加される追加情報)を使って情報を収集しながら試作版を作り上げた。その後はユーザーに興味深い場所を提出してもらい、それを200人程度のオペレーターが精査した上で現在440万カ所が承認されている。今も増え続けているが、ポータルの密度で見ると、おそらく東京が世界最高ではないだろうか。

ユーザー数は1位が米国、2位は日本

――ユーザーの反響を受けて改良した点は?

2週間に一度は新バージョンにしており、60~70回は改善を重ねてきた。過去の大きなバージョンアップとしては、2014年に「ミッション」という概念を導入した。これは自分の好きな場所や公園などをポータルトゥポータルでつなぎ、その中にパズルを加えて解くとメダルがもらえるような遊び方になる。ユーザー数の増加に伴い「どこからスタートしていいのかわからない」という声が出てきたので、ミッションを解くことで遊び方を学び、簡単に始められるようにすることが狙いだった。ミッションはユーザーが作り出すこともでき、現在は世界中に25万も存在する。東京だけでも数千ミッションあり、非常に人気が高い。

――どの国でユーザーが増えていますか。

詳細は明らかにしていないが、ユーザー数は1位が米国、2位が日本、3位がドイツ。中国語や韓国語など、10カ国語以上に対応しており、1100万ダウンロードを突破した。特に成長しているのが日本市場で、昨年7月にiOSに対応してからは2600%増となった。

――現在の開発チームと運用体制は。

最初は3人チームから開発をスタートさせ、リリースまでに2年を要した。最終的にエンジニアは20人体制となり、マーケティングやビジネス開発の担当者も加わった。他のプロジェクトとの兼任もいるが、現在は50人から100人規模で運営している。

幸いなことに、過去一度も大規模障害は起こしておらず、トラブルシューティングはサーバーが遅くなるくらい。Ingressはグーグルクラウドインターフェースに乗せているので、必要になれば何千台ものサーバーを使うことができる。

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