中学受験「周りがするから」で"参戦"のリスク 成績で一喜一憂、子どもの自己肯定感に影響も

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そもそも、中学受験とはなんのためにするのでしょうか?

さまざまな答えがあると思いますが、私自身は「中学受験が終わったあとも、社会で生きていく力を身に付けるため」だと考えています。

ただ「志望校に合格したらいい」という近視眼的な発想では、子どもにとって本当の意味で良い体験をさせることはできません。

とりあえず塾に行き、目的もないまま受験勉強をはじめ、その結果塾のテストの仕組みにのまれて、結果的に人生に良くない影響を与えてしまった……、なんてことはだれも望んでいないはず。

そのようなことが起きないためにも、「中学受験観」を更新する必要があるのです。

中学受験のトレンドが変化している

2024年の中学入試の傾向として、偏差値が中位以下の学校で、志願者数を大きく伸ばす学校が多数見られました。「偏差値上位の学校を目指す」傾向が減少しているのです。

また、子どもの多様なニーズに合わせて塾選びをする保護者も増えています。私個人の感覚としては、個別指導を利用する受験生が増えてきているように思います。

一方、これまで低学年のうちに入塾しなければ入れない、と言われていた大手進学塾でも、全学年で生徒の募集を継続している校舎が増えてきました。

つまり、中学受験の新しいトレンドとして、これまでの「集団指導塾で切磋琢磨しながら、偏差値が高い学校を目指す」というモデルから、「子どもに合った多様な学び方で、なおかつ、偏差値にかかわらず、子どもに合った特色のある学校を選ぶ」というモデルへの変化が少しずつ起こってきているのです。

従来の高偏差値校を目指す価値観はまだまだ強く根付いていますが、「将来を見据えた力を身に付けるための中学受験」という選択肢が徐々に広がってきているのかもしれません。

首都圏における中学受験者数の推移
2024年の首都圏における中学入試では、過去最多となった昨春に続く「5万2400人」で過去2番目に多い受験者数だったと推定されている(出所:首都圏模試センター『2024年私立・国立中学受験者数は52,400名と微減ながら受験率は過去最高の18.12%に!《首都圏》』)
今木 智隆 RISU Japan代表取締役

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いまき・ともたか / Tomotaka Imaki

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアントなどにコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japanを設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。日本国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいと、アフタースクールなどからのオファーが殺到している。

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