「若さ」に価値を置いてきた日本社会に言いたい事 坂東眞理子さん「年を重ねて知ることも多い」

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何より大事なのは心の持ちようです。

年を取ると、たしかにもの覚えが悪くなるとか、重いものが持てない、速く走れない、両方の指でスマホに入力できないなど、できないことも増えてきます。  

しかし周囲と比べるのではなく、過去の自分と比べてみるのです。

人生を足し算で考える

若いときにはできたのに……これもできない、あれも無理だ、と数え立てていては、気持ちが沈んでいくだけです。そうではなく、できるようになったことを意識的に数えてみるのです。

「前はわからなかったのに、こんなに新しいことがわかるようになった」と、自分で自分を励ましましょう。

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自分自身でほめるのが難しかったら、ほめてくれる人とつきあうことです。そして自分も人の進歩を認め、応援する、感心する、褒めることを相互交換するのです。

そして、老眼になったら眼鏡をかけるように、聴力が落ちたら補聴器をつける、歩くのがおぼつかなくなったら杖を突くように、使えるものを十分に使いこなして、社会生活を続けていくことが大事です。

恥ずかしいという気持ちにとらわれてはいけません。

「あれもできない」「これもできなくなった」と引き算をして、「人に迷惑をかけないでひっそり消えていくのが美しい」という『徒然草』の時代のような美意識や人生観から解放されなければなりません。

「自分はこれができるようになった」「人の気持ちや社会のあり方がわかるようになった」と足し算で考えて、自己肯定感を高めていくようにしましょう。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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