① 「失われた30年」を生み出した当事者ではない
日本の経済は1990年代のバブル崩壊から低迷し続け、すでに30年以上が経過してしまっている。
Z世代にとっては生まれる前のことであり、それを「景気回復のためにもっとがんばれ!」と言われても「いや、わたしたちじゃなくてあなたたちが頑張っといてよ」という思いが本音だろう。
30代の筆者も社会人になったばかりのとき、「年金システムがこのままでは破綻します」というニュースを見て、高齢化が進むにつれ増大していく保険料に愕然とした記憶がある。
「増える高齢者をどんどん少なくなる現役世代が支えなければならなくなるとある程度早い時期に予測できたはず。なぜ、そのときに対処せずに次の世代に背負わせるようなことをするのか?」と、怒りを感じたほどだった。
筆者の場合はその怒りがたまたま仕事へのモチベーションになったのだが、「こんなひどい状況では頑張ってもしかたない」と、冷める方向に働いたとしてもまったく不思議ではない。
むしろ、停滞した経済を何ともできず、ここまで負の遺産を大きくしてしまった先輩世代から「がんばれ!」と言われることは、Z世代が社会に冷める最初の要因だと感じている。
日本企業は制限・制約が多い
②「やろう」と思っても、旧態依然としたルールや縛りが多すぎる
実社会に出て、どんな意味があるのかわからない、謎のビジネスマナーやビジネス慣習に首を捻ったZ世代は多いだろう。実際、日本の企業社会は何かをやろうとしても、縛り、制限・制約が壁になることが多すぎる。
いちばん困るのは、上司や先輩から「うまくいってこなかったやり方や慣習」を「今まで通りやれ」と言われることだろう。「結果は出せ。ただし、今までのルールや慣習は守れ」。結果はプロセスによって生み出されるもの。だから、結果を出すためには、ルールや慣習に縛られずに必要なプロセスを構築していく必要があるにもかかわらずだ。
③「静かな退職」は今に始まったことではない。上司や先輩も冷めている
ここ1、2年で概念が広まった「静かな退職」だが、指示通りにやるべき業務をやっても、それ以上積極的に打ち込まない従業員はもともと大量にいたはずだ。
しかも、社会が停滞すればするほど、手本になる仕事に熱心な先輩や上司はどんどん減ってしまう。
「静かな退職」をしている先輩が増えると、ドミノ倒しのように若手や新しい従業員も「静かな退職」を選びやすくなるのは必然だと言える。どんな問題も急に発生したわけではなく、徐々に蓄積されてそうなっているのだ。
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