④お金を得るための方法が「サラリーマン一択」ではなくなっている
仕事に冷める要因の1つに、「サラリーマンがお金を稼ぐ1つの手段に成り下がった」ことも一因だと言える。つまり、冷めているのはサラリーマンとして働いている職場だけで、副業ではがむしゃらに働いている人が出てきている。
高度経済成長時代、サラリーマンになることは「生計を立てる基盤」だったが、その「王道一択」が崩れている。本業とは別で個人として行う「副業」もあるし、お金によってお金を稼ぐ「資産運用」という手もある。会社に所属しなくてもお金は稼げる時代なのだ。
「仕事より大事なものがある」という価値観の広がりが、拍車をかけているかもしれない。
ただ、会社の影響力が低下しているとはいえ、在籍していると社会保険や福利厚生というメリットを享受できる。実は、「静かな退職」を選ぶZ世代は「冷めている」というより、「賢く組織の仕組みを使っている」と言ったほうがいいのかもしれない。
ミスマッチが起こりやすい新卒一括採用
⑤「新卒一括採用」だと適性や仕事観と合致した仕事選びができない
実は筆者は、Z世代が仕事に冷める大きな要因は「新卒一括採用」という仕組みにあるのではないかと思っている。新卒を一括で採用する仕組み自体はいいのだが、その後の人材の移動が少ない点が問題だと感じている。
学生時代に受けられるキャリア教育はいまだにほとんどなく、インターンがあっても選考目的になっているため、実務経験を積むことができないのが実情だ。つまり、若者たちは「実際に企業で働いて自身の適性や仕事感を確認する」経験がほとんどできないのだ。
新卒一括採用のレールに乗って就職はするが、自分の適性や仕事観と合致した仕事選びをしたわけではないので、ミスマッチが起こりやすい傾向がある。
就職活動を乗り越えたのに「こんなはずじゃなかった」という思いになると、やることはやるが意欲的には働かないという冷めた選択になるのも当然だろう。
人材の流動性も低いので、そのまま「なあなあで残ってしまう」と、頑張ろうにも頑張れない年齢になってしまっているケースも多い。
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