「30歳以下の幸福度」が急降下している国の特徴 英語圏で目立つ幸福度低下、SNSの悪影響濃厚
ただ、年齢別の結果が初めて示された今回の報告書で、アメリカでは若者と高齢者の意識の差が大きいことが明らかになった。143の調査対象国のうちアメリカは、60歳以上では10位だったのに対し、30歳未満では62位に沈んだ。若者の幸福度で1位となったのはリトアニアで、最下位はアフガニスタンだった。
英語圏の若者の幸福度は極端に低下
「ここまで極端な変化はこれまで目にしたことがない」。経済学者で報告書の共著者のジョン・ヘリウェルは若年層における幸福度の低下について、そう話した。「これはすべて過去10年の間に、主として英語圏の国々で生じたものだ。世界全体としては、このような落ち込みはない」。
ヘリウェルら研究チームはデータを収集するため、2021年から2023年にかけて、130以上の調査対象国で毎年それぞれ約1000人を対象に聞き取り調査を行った。調査対象者は、人生をはしごに見立てて10を最高の人生としたら自分の人生は1から10までのどこに位置するか評価するよう求められた(質問項目はこれだけではない)。
ジョージ・ワシントン大学医学部の准教授(精神医学)ロレンゾ・ノリス(世界幸福度報告書には関わっていない)は、アメリカの若者の間にあるメンタルヘルス問題の主な原因として、新型コロナウイルスのパンデミックが人々の生活にもたらした混乱を挙げる。
「各種文献がはっきりと示しているように、パンデミックは社会的な行動や、つながりを感じコミュニティを維持する人々の能力に影響を及ぼした」とノリスは言う。「とくに高校生ぐらいの若者は、通常なら経験したはずの多くのことを経験していない。そして、それは今も続いている」。
27歳の小説家ジェイド・ソングも、ここ数年でますます不幸になったと感じている1人だ。
「大人になって世界のあらゆるニュースを突然知り、自分にコントロールできることに一段と意識を向けるようになる。そして、自分にコントロールできることがほとんどないことに気づくことが、理由としては大きい」