「30歳以下の幸福度」が急降下している国の特徴 英語圏で目立つ幸福度低下、SNSの悪影響濃厚
ソングは世界幸福度調査の対象にはなっていないが、取材に対してそう話した。「デモに参加したり、家賃や請求書の支払いを期限通りに行えていたりしたとしても、それまでの生き方から抜け出すのはとても難しく、大きなレベルで自分の行動が実際にもたらせる影響の小ささに気づかされる。とりわけ今は」
18〜25歳の幸福度が最悪なのはSNSのせい
2022年にはハーバード大学の調査で、アメリカの若い成人の幸福度がそれまでの20年で低下したことが明らかになった。18歳から25歳までの若者は、ほかの年齢層に比べ幸福度が最も低く、心身の健康、目的意識、性格、美徳、親密な社会関係、経済的安定に関する自己評価も最低だった。同様の調査結果はイギリスやカナダでも出ている。
「その要因の1つだと私たちが一様に考えているのはソーシャルメディアだ」と、ハーバード大学で成人発達研究の責任者を務めるロバート・ウォールディンガーは言う。
「というのは複数の研究が、ソーシャルメディアは使い方によっては、幸福感を低下させ、うつ病や不安の発症率を高めることを示しているからだ。若い女性や10代の女の子の場合はとくに、だ」
さらに、ウォールディンガーは、ニュース消費から来る負のフィードバックループも幸福度の低下につながっていると話す。
「世界の状況に対する不安も大きい。気候変動に対する不安、私たちが目の当たりにしている分断への不安などだ」
もちろん、パンデミックやソーシャルメディア、気候変動はアメリカだけの問題ではない。だが、世界幸福度報告書によると、クロアチア、スイス、オーストリアなど、いくつかの国では若者の幸福度は上がってきている。
アメリカでは長期にわたり、幸福が憧れの対象となってきた。「幸福追求」の権利が自明の真理として独立宣言の最初の方に書かれていることは、言うまでもない。概念としての幸福追求は、アメリカのポップ・カルチャーの主軸であり続けている。