「雪の中のごみ収集」やっぱり苦労の連続だった 体力に高い運転技術、柔軟な対応力も必要

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雪深い道を進む収集車
雪深い道をものともせず通行する(写真:筆者撮影)

前回のリベンジで臨んだ今回の収集は、大石さんの多大なフォローもあり、16時前に無事にやり遂げられた。ただ、かなりの疲労を感じた。

やはり雪の中の収集作業は大変なことだ。

受け継がれる住民へ配慮するマインド

以前の記事でも述べたが、札幌市では行政改革を進め、民間の清掃会社に業務を7割程度委託するようになっている。

そのため田中さんは、札幌市直営の収集を堅持するため自ら先頭に立ち、「住民のためにできる限りのサービスを提供する」というマインドで業務を続けている。単にごみを収集するだけなら委託業者と変わらないからだ。

大石さんもそのマインドをしっかりと受け継ぎ、収集の現場で可能な限りのサービスを提供し、直営収集に意義を見出してもらおうと奮闘している。

防鳥ネットの畳み方を筆者に教える大石さん
見栄え良い防鳥ネットの畳み方を筆者(右)に教える大石さん。筆者の畳み方では「40点」しかいただけなかった(写真:松里さん撮影)

今回の収集でも、ごみを取り終えた後、ステーションが公道にある場合は、折りたたみ式箱型器材をきれいに畳んで横に寄せておく、防鳥ネットを見栄え良く畳んで所定の場所に戻す、ステーションのフックをしっかりと閉める、といったことまで細やかな気配りをしながらサービスを提供していた。

大石さんは以前、ごみ収集の委託会社で勤務していた時期があり、そのときは「住民へ配慮する」というマインドでは仕事をしていなかったと振り返る。

現在は公務員の立場になったので、住民へのサービス提供という意識が芽生え、田中さんの考えに賛同し、その想いを継承しながら業務に勤しんでいる。

通常は、清掃職員自ら「住民へ配慮しながら収集している」とは言わない。大石さんも黙々と作業を続けているのみだ。なかなか気づかないかもしれないが、一人でも多くの住民に田中さんらのような清掃職員のマインドが伝わってほしいと思う。

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藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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