そのため職員は早出で出勤し、除雪作業の前にごみを収集するのだが、この日、8時前に現場となる西野地区へ到着したときにはすでに複数の重機が除雪を始めていた。
すぐに大石さんは収集車を降りて走っていき、重機の運転手や交通整理を行うガードマンと調整を試みた。それとともに周辺の除雪状況や重機の配置状況の把握に努めた。その情報をもとに松里さんと相談し、効率的な収集ルートを考えていく。
「ごみ収集」といえば肉体作業が連想されるが、今回のように刻々と変化する現状に対して、効率的なルートを考案することも業務の一つ。実はごみ収集という仕事には、頭脳労働的な要素がかなり含まれている。
体力を消耗する雪の中の作業
雪の中でのごみ収集作業は、通常時に比べて追加の体力が必要になる。
収集車から降りる際には、ステップに雪が溜まって凍ると踏み外す危険性もある。凍って凸凹した地面に着地する際にも、足を怪我しないよう細心の注意を払わなければならない。
小走りで収集へ向かうときもあるが、雪道では思うように足が動かず、いたずらに体力を消耗してしまう。ごみステーションが雪に埋もれているときは、雪をふるい落とすうちに手がかじかみだし、思うように指が動かなくなる。
雪の降らない地区での作業と比べると、かなりの追加的な負担が強いられる過酷な作業であるのは断言できる。
今回の経験を通して、過酷な環境下でごみ収集作業にあたる負担軽減のため、住民の一人ひとりに「収集者のことを考えたごみ排出」をしっかり考えてもらいたいと思うようになった。
たとえばしっかり結ばれていないごみ袋だと、作業員がつかんだ瞬間に結び目がほどけ、中身が周囲に散乱することがある。ステーション内に中身が散乱してしまうと特にその後の清掃が大変だ。熊手とジョンバー(柄の広いスコップ)が使えれば良いのだが、そうでないなら手で拾い上げざるを得ない。
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