なぜ成功者はワイナリー経営に乗り出すのか ナパの「ケンゾー・エステート」に行ってみた
欧州からの開拓者が始めたナパバレーのワインだが、アジアの経済パワーが拡大するにつれ、今ではアジアの影響力が大きくなっている。2014年の米国ワインの売り上げは15億ドル。その輸出先はEUが5.2億ドル、日本が1億ドル、中国が7100万ドル、香港が6900万ドル、韓国が2200万ドルだった。
カリフォルニアのワイン組合、ワイン・インスティチュートによると、中国の1人当たりのワイン消費量は2012年と2009年の比で57.1%。台湾は52.1%、日本は25.2%、韓国は22.2%と伸びている。一方、世界の3大ワイン産地国の1位フランスでは4%と消費量が減り、2位のイタリアは4.6%、3位のスペインでは10.4%と軒並み消費が減少している。また、同インスティチュートでは中国市場の伸びに着目し、今年5月29日から6月5日まで、64のワイナリー経営者らを伴って北京、香港、上海などを訪れた。ナパの国際化、とくにアジア市場の重視が加速化している。
ワイン栽培の適地であるフランス、イタリア、アルゼンチン、チリなどよりもアジアに近い、カリフォルニアでは、これからもアジア人が経営するワイナリーは増えていくことだろう。
出身国への輸出に注力
彼らが重視するのは出身国のマーケットだ。韓国の実業家が経営するダナ・エステートは米国での小売りはしない。ダナのワインは、世界で最も影響力のあるワイン評論家のロバート・パーカー氏から100点満点のパーカー・ポイントを得た。3つの葡萄畑から生産されるダナのワインは年間1000ケース以下と極小で、価格は1本450ドルで取引されていたが、現在は1本1800ドルに上がっている。
ヤオ・ファミリー・ワインズも中国でのディストリビューターを一つに絞って、中国市場をターゲットにした。ワイン経営を成功させるには誰よりも情熱と経験、そして豊かな資産も必要だ。それに加え、ワイン試飲人口の増える母国の市場に特化する要素も加わる。アジア市場から近いナパバレーでのワイン生産に、アジア出身の成功した富裕者たちがこれからも大きな影響を与えていくことになりそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら