なぜ成功者はワイナリー経営に乗り出すのか ナパの「ケンゾー・エステート」に行ってみた
ナパの土地代、労働費、設備費、葡萄の木の価格が高いことを考慮しても、一般には手の届かない値だ。チリやアルゼンチンなどから良いワインが多く産出されるようになって、ナパバレーのワインメーカーとワインの投資家が選んだ道は、最高級のプレミアムワインだった。ワインの投資家たちはカルトワインのことを「リキッド・アセット(液体資産)」と呼ぶ人たちもいる。
エステートには灌漑用の沼も
6月中旬、筆者はケンゾー・エステートを訪問してみた。丘陵に葡萄が植えてあり、中には灌漑用の沼もある。3800ヘクタール(470万坪)の広さがある。
ティスティングは1日3回(10:30、12:30、2:30)の予約制。テイスティングが40ドル、ツアーが30ドルだ。
ケンゾー・エステートのモットーはカルトワインの品質でありながら、手頃な価格設定を目指す、というもの。ここでは、前述のカルトワイン「スクリーミング・イーグル」を醸造し、ワインの女神とも呼ばれるハイディ・バレット氏がワインメーカーとして参画している。葡萄栽培家はディビッド・アブリュー氏、建築家はハワード・バッケン氏と超一流だ。
さて、どんなワインがあるのだろう。テイスティングルームの木の机の上には白が1、赤が3、計4種類のワインが注がれたグラスがあった。
最初は、スッキリした白からのテイスティング。ソヴィニョン・ブランが主の「あさつゆ」2014は白薔薇のような香り、メロンとシトラス系の味がするのが特徴。赤のカルベネ・フランが主の「明日香」2012はプラムのような香りが特徴。やわらかいタンニンとラズベリー味のバランスが良く、飲みやすい。
カベルネ・ソヴィニョンが50%以上、メルロー、カルベネ・フラン、ペティット・ヴェルドがブレンドされた赤の「紫鈴(りんどう)」。カベルネ・ソヴィニョンが80%以上でメルロー、カルベネ・フラン、ペティット・ヴェルド、マルベックもブレンドされた「藍」の2009年ものもテイスティングした。一緒にテイスティングに参加していた葡萄畑を保有していたこともあるワイン通に聞いてみると「バランスがいいが、価格設定がちょっと高すぎるかも」と話していた。
買い求めやすくするためもあるのだろう。ケンゾーにはフルボトルだけでなくレストランでよく売れるハーフボトルも揃えている。価格はフルボトルの半値。ハーフボトルは熟成がフルボトルより早いため、飲み頃は早くなるそうだ。
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