米国の頂点に立つシェフ、B級料理を変える

米国ワインの聖地、ナパを有名にした男

有名なシェフがレストラン界やセレブ界に与える影響は決して小さくないが、トーマス・ケラーはそれとは別に、アメリカ人の料理に対する意識にも影響を与えた。それは、プロの料理をわれわれ普通の人間にも少しだけわかるものとして教えてくれようとする、彼のスタンスのおかげだ。

トーマス・ケラーと言えば、今やアメリカで頂点に立つシェフ。1994年にカリフォルニア州のワインの産地、ナパに作ったフレンチ・ランドリーが、その手の込んだ味わいと完璧主義のサービスでたちまち評判になり、何年も先まで予約が取れないレストランと呼ばれるようになった。

米国ワインの聖地、ナパでの成功

米国の頂点に立つシェフ、トーマス・ケラー(同社HPより)http://tkrg.org/showStaff.php?id=50

フランス料理の基本、カリフォルニアの食材、それをアメリカ風の力強さを残しながら、非常に繊細に美しくまとめ上げ、またケラー自身の発明だと思われる新たな味わいがそこに混じる。

そんなフレンチ・ランドリーが評判になったのは、まだナパが今のような人気観光地になる前の話で、いわばこのレストラン自体が食の中心地としてナパを人々に認識させ、大勢の旅行者を世界中から巡礼させるようになったとも言えるだろう。

フレンチ・ランドリーで確固とした成功を収めた後は、もっと気軽なビストロやカジュアルなホームスタイルのレストラン、ベーカリーを同じ地域にオープンし、フレンチ・ランドリーに行けない人々に、ケラーの料理のエッセンスを少しでも味わえる場を提供した。

その後は、ニューヨークとラスベガスにレストランをオープン。ことにニューヨークのタイム・ワーナー・センターにあるパー・セは、フレンチ・ランドリーの味わいを都会風にアレンジしており、味にうるさい世界中のグルメ客らが途切れもなく足を運び続けている。

次ページフライドチキンへの並々ならぬ情熱
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 貧困に喘ぐ女性の現実
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • コロナ後を生き抜く
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT