現在ほど、「仕事の方法」について議論される時代はないだろう。厳格なルールの中で社員を管理してきた会社は、イノベーションや時代の変化の中で生き残れなくなっている。同時に深刻な経済危機を通じて、どんなに安定しているように見えた職場も決してそうでないことがわかった。そして、教育と求められているスキルとの乖離が縮まらない。
そんな中で、便利屋さんを探すのを手伝う「タスクラビット」というサービスが、労働市場の概念を変えてしまうのではないかとも期待されているのは、面白いことだ。順を追って説明しよう。
ドックフード、誰かが買ってきてくれたらな……
タスクラビットは、2008年にリー・バスクが創設したサイトだ。創設のきっかけはこんなことだった。
ある夜、友達に会いに行こうと家を出ようとしていたとき、飼い犬のドッグフードが切れているのに気づいた。
「ああ、誰かちょうどストアに向かう近所の人がいたらなあ。一緒に買ってきてもらえるのに」
痛切にそう思ったバスクは、出かけるタクシーの中で夫とそんなことを話し合って、訳せば「ちょっとお使いに行って」という名前のドメインネームまで登録してしまった。そこから生まれたのがタスクラビットだ。
タスクラビットは、ちょっとした用事をやってもらいたい人と、ちょうどその時間にその用事ができる人を結び付けるサービスである。用事は、ミルクを買いにいく、掃除をする、イケアの家具を組み立てる、犬の散歩をするなどいろいろ。用事の内容をタスクラビットのサイトに掲示し、それを見て、できる人が値段を提示する。手を挙げた人が複数いれば、頼みたい人が選んで用事を頼む。用事が完了したらタスクラビット経由で支払い。それでおしまいだ。
知らない人に用事を頼むのは勇気がいるかもしれないが、タスクラビットでは用事をする人々のバックグラウンド・チェックをし、さらにこれまで用事を頼んだ人々によるレーティングもわかるようになっている。これまでならば、人づてにしかわからなかったそうした情報もオープンにされていて、安心感を加えるのだ。
定期的に契約して来てもらうわけではないけれども、時々、頼みたいといった用事はたくさんある。タスクラビットは、そうした場合に安心して使えるサービスなのである。
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