そのためには、作業の中断を提案したいときに誰でも使える言い回しや合図を事前に決めておくといい。
最初から「言い方」が決まっていれば、チームのメンバー、リーダーのどちらからでも、立ち止まって状況を見直す必要があると発信できる。
作業の中断を呼びかける合図の例をいくつか紹介しよう。
●「タイム」と言う。
●「ハンズオフ」と言う。
●イエローカードを掲げる。
●手をあげる。
中断は「レジリエンスの実践」である
私が艦長を務めた原子力潜水艦サンタフェでは、「ハンズオフ」というフレーズを使っていた。
最初のうちは、周囲に「ハンズオフ」と呼びかけることにためらいがあり、声をかけられた乗員は身構えることが多かったが、練習を通じて克服した。
練習の目的は、乗員がその言い回しに慣れて、中断を呼びかける行為を恥だと思わなくなることと、中断を呼びかけられたときの対処の仕方を身につけることだった。
それは不必要な中断だった(見直したところ、差し迫った問題はなかった)と判明したときに、呼びかけた人をからかったり、「間違ったな」と責めたりすれば、その後誰もが中断を呼びかけづらくなる。
そこでサンタフェでは中断のことを「レジリエンスの実践」と呼び、中断によって問題が見つかってもそうでなくても、自分どちらでもかまわないとしていた。
では、あなたの職場で基本となる前提に誰かが疑問を抱き、手をあげて、プロジェクトや業務の流れをとめたとしよう。
そして調査の結果、その前提は実際に正しく、中断などしなくても何ひとつ変えずに続行できるはずだったと判明したとしよう。
この中断に対し、あなたやあなたの職場の人たちはどのような反応を示すだろうか。その中断のことを何と呼ぶだろうか?
また、中断を呼びかけた人に対してどのような態度をとるだろうか?
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