――庭崎さんは、ここ数年、和光の取締役・常務執行役員も兼務していましたね。
そうなんです。現取締役副会長を務める石井と、これからの和光をどうしていくかについては多くの議論を重ねてきました。コロナ禍によって、それを加速度的に進めることになりました。お店を閉めざるを得なかったので、売り上げも立たないし、先行きも見えない。人通りがほとんどない銀座の街を歩きながら、これからについて考えたのは濃い記憶になっています。
コロナ禍に決めた「5つのお約束」
――どうやって前に進めたのですか。
新しいことに挑戦する姿勢が弱まっていると感じていました。だからまず、自分たちが進むべき方向をきっちり決めること、道しるべのようなものが要と考えたのです。
具体的には、“和光とは何か”を問うプロジェクトを立ち上げ、「5つのお約束」として社外に発信する一方、商品、売り場、接客など、あらゆる面について磨きをかけることにしました。
「5つのお約束」とは、①すべてに「ストーリー」があります、②必ず「本物」が見つかります、③いつも「サプライズ」をお届けします、④「一生のお付き合い」をいたします。⑤「銀座の街」と社会とともに歩みます――ということです。
――まさに“らしさ”を追求したのが、凝縮された「5つのお約束」ということですね。
もっと掘り下げると、この「5つのお約束」の根底にある日本らしさが、和光らしさになったらいいと考えています。日本人がもともと持っている、誠実さや丁寧さ、謙虚さ、慮りなどは、世界に向かって誇れる美点だと思うのです。
銀座という街についても、新しいビルもあれば、古い店が軒を連ねている。大規模な店舗も小さな専門店も同居していて、世界中のものが一堂に介している。しかも清潔で居心地がいい。そういうことを丸ごと含め、和光が日本らしさの一角を担う存在になっていったらいいと考えています。
――ここ数年、アパレルの「NEW CLOSET」、バッグの「MANACO」など、和光のプライベートブランドを出していますが、いずれもアクティブで若々しいイメージです。
ジュエリーをはじめ、食品についてもオリジナル商品を出していて、お陰様で好評をいただいています。オリジナル商品の比率は、もっと上げていきたいところです。ここでしか買えないから和光を目指す、そうなっていきたいのです。
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