――オリジナル商品を拡充するということは、在庫を持つリスクを引き受けるということでもあります。
和光は、全国にわたって多店舗化しているわけではなく、銀座を拠点として、いくつかのサテライトショップを持っている規模です。だから目の前のお客様の動向をつかむこともできる。売れる傾向や数量も、ある程度把握できる。その意味では、小さいことはいいことだととらえています。
――小さいことはいいことですか?
たとえばレストランについて、ここにしかないというレストランを訪れる時はワクワクするじゃないですか。最近は、国内でも地方で小さくやっている酒蔵や、地元の食材にこだわっているオーベルジュ、地場のアーティストやデザイナーと営んでいるセレクトショップなどが脚光を浴びています。ローカルに一店舗だけでやっている、そういう価値が見直されている時代であり、その点において和光は強みを持っていると思うのです。
失敗しても「挑戦」が止められることはなかった
――庭崎さんは、いつも新しいことに挑戦してきています。その過程で「怖い」とか「失敗したらどうしよう」と迷ったことはないのですか?
まったくと言っていいほどないのです。これから何が起きるだろう、どうなるだろうと、ワクワクする楽しさの方が勝っているのです。
――失敗したことはあるのでしょうか?
もちろん、いっぱいあります。若い頃、自分が仕かけた商品が売れず、山盛りの在庫を作ってしまったなんてこともありました。叱られはしましたが、その後の挑戦を止められることもなく、割合と自由にやらせてもらってきました。そこが、当社のいいところと言えるかもしれません。
――社風という意味では、セイコーと和光の社風の違いを感じるところはありますか?
根底に流れているものに共通性を感じています。人の顔が見えて仕事をしている。どこか家族的な雰囲気は、グループのらしさと言っていいと思います。とともに、創業者の精神性がDNAのように根づいています。
実は、セイコーグループには、社訓や社是といったものが何もないのですが、「Always one step ahead of the rest、つまり、常に時代の一歩先を行く」「急ぐな、休むな」といった言葉が、何気なく受け継がれているのです。
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