銀座・和光が「オリジナル商品」増やしている真因 新社長が語る「和光らしさ」へのはてなき追求

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――オリジナル商品を拡充するということは、在庫を持つリスクを引き受けるということでもあります

和光は、全国にわたって多店舗化しているわけではなく、銀座を拠点として、いくつかのサテライトショップを持っている規模です。だから目の前のお客様の動向をつかむこともできる。売れる傾向や数量も、ある程度把握できる。その意味では、小さいことはいいことだととらえています。

――小さいことはいいことですか?

たとえばレストランについて、ここにしかないというレストランを訪れる時はワクワクするじゃないですか。最近は、国内でも地方で小さくやっている酒蔵や、地元の食材にこだわっているオーベルジュ、地場のアーティストやデザイナーと営んでいるセレクトショップなどが脚光を浴びています。ローカルに一店舗だけでやっている、そういう価値が見直されている時代であり、その点において和光は強みを持っていると思うのです。

失敗しても「挑戦」が止められることはなかった

――庭崎さんは、いつも新しいことに挑戦してきています。その過程で「怖い」とか「失敗したらどうしよう」と迷ったことはないのですか?

まったくと言っていいほどないのです。これから何が起きるだろう、どうなるだろうと、ワクワクする楽しさの方が勝っているのです。

――失敗したことはあるのでしょうか?

もちろん、いっぱいあります。若い頃、自分が仕かけた商品が売れず、山盛りの在庫を作ってしまったなんてこともありました。叱られはしましたが、その後の挑戦を止められることもなく、割合と自由にやらせてもらってきました。そこが、当社のいいところと言えるかもしれません。

(撮影:今井 康一)

――社風という意味では、セイコーと和光の社風の違いを感じるところはありますか?

根底に流れているものに共通性を感じています。人の顔が見えて仕事をしている。どこか家族的な雰囲気は、グループのらしさと言っていいと思います。とともに、創業者の精神性がDNAのように根づいています。

実は、セイコーグループには、社訓や社是といったものが何もないのですが、「Always one step ahead of the rest、つまり、常に時代の一歩先を行く」「急ぐな、休むな」といった言葉が、何気なく受け継がれているのです。

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川島 蓉子 ジャーナリスト

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かわしま ようこ / Yoko Kawashima

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了後、伊藤忠ファッションシステム入社。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年退社。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』『アパレルに未来はある』(日経BP社)、『未来のブランドのつくり方』(ポプラ社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

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