伊勢丹「5日間で1億円」売る若者向け催事の波及力 婦人服売り場「常設廃止後」にECと催事で再浮上
8月末、伊勢丹新宿店の2階では“恒例の催事”が開かれていた。残暑厳しい中でも、品ぞろえはすっかり秋一色。ピンク色をあしらった内装に、大きなテディベアのぬいぐるみが鎮座する。
「ファッションの伊勢丹」の中でも、とりわけポップな印象が強いこのイベントは「acutegrrrl (アキュートガール)」。20代女性をターゲットに据え、かわいいに加えてエッジが効いたファッションアイテムの品ぞろえに特徴がある。
アキュートガールは通常、三越伊勢丹のネット通販上でオンラインセレクトショップとして展開している。各シーズンの立ち上がりに合わせて年4回、期間限定のポップアップを開催し、中でも冬商戦を間近に控えた11月は大規模な催事を実施する。期間中の5日間で約1億円の売り上げを作る一大イベントとなっている。
催事の開催にあたり、新宿伊勢丹は告知をほとんど行わない。それぞれの出店ブランドがSNSを通じて呼びかけ、集客することで成り立っている。
「常設売り場廃止」から復活を遂げた
百貨店業界が長年抱える課題の1つである「若年顧客との接点拡大」。その難題に、業界最大手の三越伊勢丹ホールディングスも試行錯誤を続けてきた。
2019年から2020年にかけて、伊勢丹新宿店の本館2階では売り場改装が行われた。それまで2階ではアキュートガールが三越伊勢丹の自主編集売り場(百貨店が仕入れた商品で売り場を作り、販売する方式)として30㎡ほどの売り場を持っていたが、改装に伴い廃止された。
しかし常設売り場廃止後もアキュートガールの人気は根強く、顧客から復活を希望する声が寄せられたという。そして現在のような、年4回のポップアップストアとオンラインストアでの再開に至った。
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