伊勢丹「5日間で1億円」売る若者向け催事の波及力 婦人服売り場「常設廃止後」にECと催事で再浮上
2月、5月、8月、11月と年4回行われる催事のうち、前半の3回は7~8ブランドを70㎡ほどの2階イベントスペースで展開する。商品の価格帯は伊勢丹新宿店の2階婦人服売り場で取り扱う商品と同程度。たとえばカットソーであれば1万円前後、ジャケット3万~5万円が中心だ。
一方、目玉となる11月開催は同店6階の催事場を使い、売り場面積1000㎡の大掛かりなイベントになる。ブランド数も約75と大規模だ。比較的安価な商品も含まれるため客単価は7000~8000円程度となり、期間中は学生を含む若年層が多く足を運ぶ。
もともとセレクトショップ形態をとっていたアキュートガールは、常設売り場からイベントベースに形を変えてもブランドぞろえが要となる。その中で、クロスMD営業部バイヤーでアキュートガールを担当する﨑谷由衣氏は「毎年多くのブランドを入れ替えることを意識している」といい、7割程度は昨年と違うブランドをセレクトしている。
ポップアップの「スピード感」を生かす
SNSが一般化したことで若年女性層のトレンドは、流行り廃りが今まで以上に激しくなっている。「1年間で人気ブランドの勢力図がガラッと変わるうえ、顧客のマインドの移り変わりも早い」と、﨑谷氏は難しさを語る。
2019年までアキュートガールを自主編集売り場として常設展開していた際は、アパレル業界の慣習にのっとり、ブランドの展示会で半年以上先の商品を買い付けてから販売することが多く、実需をカバーするのが難しかった。
だが、現在のようにイベントとして行う場合は開催の2カ月前に最終決定するブランドもあるといい、スピード感のある仕入れができる。常設店舗ではない点を逆手にとった戦略が奏功しているのだ。
さらには「百貨店の新規顧客となる若年層との接点を持つ目的がある」(﨑谷氏)と、業界が抱える積年の課題に取り組む狙いもある。主力商品であるアパレルの不振が続く中、アキュートガールは若年女性のニーズに合ったアパレルやファッション雑貨、さらには化粧品やアート作品まで広く取り扱っている。
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