ただ、百貨店やセレクトショップを取り巻く環境は厳しい。インバウンド需要が売り上げに貢献しているものの、使い手にとっての独自性に際立ったものがなければ、中長期的に生き残るのが難しい――そんな環境にあると言っても過言ではないのである。
昨年11月、セイコーグループの常務執行役員を務めていた庭崎紀代子さんが、新たな社長として就任した。庭崎さんは、グランドセイコーのグローバル戦略や、セイコーグループのコーポレートブランディングなど、数々の道を切り拓いてきた方。その才を生かして、和光の「らしさ」をどちらの方向に導こうとしているのか、話を聞きに行った。
「世界中から来ていただく」というグローバル化
――社長になられて数カ月経ちますが、ずばり庭崎さんは、和光をどのようにしていきたいと考えていますか。
“WAKO”というブランドになりたいと思っているのです。
――すでに和光は立派なブランドだと思うのですが……。
今も、“百貨店の和光”や“セレクトショップの和光”といった表現をされることはありますが、海外のラグジュアリーブランドは、「○○の〜」という言い方をされることはありません。
根底には革製品やジュエリーといった基軸があるにせよ、ライフスタイルを彩る世界観をきちんと表現し、世の中に伝わっている。だから確固としたブランドとして、人々の中に根づいている。和光もそういう存在になりたいのです。
――そのために必要なことは何なのでしょうか。
グローバル化していくことです。銀座の和光とはどういう場であり、そこに行けばどんな体験ができるのかを、グローバルレベルで伝え、理解してもらう必要があると考えています。
――グローバル化というと、とかく海外進出と捉えがちですが、そうではないということですね。
和光のグローバル化とは、世界中の方々がここを訪れ、ここでしかできない体験をしていただくこと。つまり“来ていただくグローバル化”と言えます。
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