7~8月の予約は順調、計画上回る利益に意欲 稲盛和夫・日本航空会長

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 ――今回の震災では、JALに対して悲観的な見方が広がりました。しかし、ふたを開けてみれば更生計画を上回る利益を目指している。新型インフルエンザなど過去のイベントリスクのとき、大赤字になったのとは大きく違いますね。

「今までにはなかったことだ」とJALの幹部連中が言っているのですが、震災が起きてお客様が激減する中で、JALは被災地の周辺空港にすぐに臨時便を飛ばした。今までは上のほうで指示しなければ動かなかったのに、今回の震災では現場の担当部門が機材の調達などを全部行って直ちに飛ばすということをやった。どの空港でも、臨時便を飛ばしたのはJALがトップです。倒産してから、それぞれの部門の責任体制を明確化しましたが、みんな見事に自分の責任を果たしてくれた。社員の自信にもなったようです。

公共交通機関としての使命がある

──採算重視への転換で赤字の過疎路線維持は難しくなりませんか。

そうではありません。過疎路線といっても、客室乗務員やパイロット、地上職を含めて、皆がお客様にどのくらい親切に、いいサービスをするかによって、乗ってもらえるかが決まるわけです。田舎のご婦人が息子に会いに行くとき、JALはすばらしいと感じてくれれば、過疎路線で赤字と思っていたものを何とか採算が合うものにできる可能性はある、と考えている。

──政府に頼らなくても、JALの中で努力できる部分があると。

体質が強くなることが重要だ。JALには公共交通機関としての使命があるのだから、自分の力に合う範囲でやる。それは、どの路線も健全であればあるほど可能だと思う。今は、社員皆が「儲かる路線にするのは面白い」と目覚めて、非常に張り切っているところだ。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年7月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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