7~8月の予約は順調、計画上回る利益に意欲 稲盛和夫・日本航空会長
──会長就任当初は、幹部社員に不満も漏らしていましたが……。
確かに着任時は、違和感があった。私の言っていることを2~3割くらいしか理解していなかったと思う。「JALの幹部社員では八百屋の経営もできない」と言ったものです。
しかし、今ではよくわかってきて、顔つきそのものが変わってきた。8~9割の人がすばらしい変化を遂げてくれた。前期の営業利益1884億円のうち、約780億円は(会社更生法適用に伴う)財産評定によるコスト削減部分ですが、残りの1000億円強を稼ぐことができたのは、幹部社員の考え方が変わったから。意識の変化とともに業績はぐんぐん上がり、私としても非常にやりがいがあった。
再上場に向けて準備中
――会社更生法適用終結と同時に、京セラや大和証券グループ本社など民間企業に対して合計127億円の第三者割当増資を行いましたが、追加増資の必要性はありませんか。
企業再生支援機構に資本注入してもらった3500億円だけでは若干足りないだろうと思って、民間企業にも出資要請したが、現在、機構の3500億円はキャッシュのまま残っている。今の業績状況から考えると、今年度末までも残るだろう。だから、追加増資はまったく必要ないと思っている。
問題は、機構の3500億円の回収のほうだ。政府のおカネであり、毀損なく、できれば若干利益が乗る形で終えられるようにしたい。そのために今、JALは再上場を計画し、社内に上場準備室を作り、準備作業を進めている。
──再上場に向け主幹事証券の選定などが取りざたされていますね。
今まさに、専門家を交えてそれらを検討しているところだ。JALの経営者としては、投資家に魅力のある会社にするため、業績をよくすることが大事。今期は、750億円台の営業利益計画を少しでも上積みできるようにしたい。