第4回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション--受賞企業担当者に聞く経営戦略としてのダイバーシティ
○梅田
日本IBMダイバーシティー&人事広報の梅田です。「IBMの成長戦略としてのダイバーシティ&インクルージョンの取り組み」というテーマでお話をさせていただきます。
IBMは、アメリカに本社があり、今年設立100周年を迎えます。世界170カ国で40万人の社員が働いており、その40万人の社員の力をどうやって活用していくかがまさにIBMの重要な経営戦略であり、ダイバーシティがIBMの経営戦略の中枢に位置づけられている理由です。
IBMがダイバーシティに取り組み続けている理由を一言で申しますと、「いかに危機に強い社員・組織・リーダーをつくっていくか」ということではないかと思います。「変化をリードする社員になれ」「変化に強い社員になれ」ということを社員に発信し続けています。社員が「価値観としてIBMはこうするべき」というものを共有し、会社の指示を待つのではなく、各自の判断、組織の判断で、いろいろな対応に取り組むことができるようにしているので、おかげさまで今回の大震災の際も、「IBMは震災への対応が速かった」という評価をいただくことができました。危機というのは予測のできない変化の最たるものですから、強い社員をつくるということがIBMのダイバーシティの経営的意義ではないかと思っています。
ダイバーシティ推進の背景ですが、IBMは古くから「イコール・オポチュニティ」という観点で、ダイバーシティらしきものには取り組んできました。ただ、それはアメリカの人権運動に即応したもので、黒人の採用や女性の権利保護などが中心でした。また、永年勤続を表彰したり、手厚い福利厚生で社員のロイヤルティを高めたりという施策をとってきましたので、優良企業と言われていましたが、結局は経営層は白人男性に占められており、決してダイバーシティな会社ではなかったと思います。