歴史が教える企業が政治に関与すべきでない理由 企業の力を社会のために役立てるための指針

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エクソンの技術者が世界じゅうで油田を探して回り、海底や北極圏の氷に閉ざされた土地から石油を取り出すことに成功したのは、畏怖の念を起こさせる。

マーク・ザッカーバーグのプログラマーチームがフェイスブックを、世界の何十億人というユーザーを抱えるウェブサイトへと育てたのは、壮大すぎて気が遠くなるほどだ。

そこには当然、悪事もあるが、崇高なものもある。企業は、その核心部分においては、協力の大切さ、つまり人々が同じ目標に向かって力を合わせることの大切さの証拠となるものだ。

企業が経済的な奇跡を起こせるのは、人間はひとりで取り組むより、仲間といっしょに取り組むことでより大きなことを成し遂げられるからにほかならない。このことは人間の性質と資本主義の制度を賛美する理由にもなれば、その未来を楽観できる理由にもなる。

企業は政治に関与すべきではない

社会の利益のために企業が作られたのだとしたら、企業がその務めを果たしているかどうかはどのように確かめればいいのか。ここにむずかしさがある。社会の利益とは何かについて、人々の意見ははげしく対立しているからだ。

移民の受け入れを制限するべきだと考える人もいれば、もっと増やすべきだと考える人もいる。富の再分配を推進するべきだと考える人もいれば、そうすべきではないと考える人もいる。

教育を無料にするべきだと考える人もいれば、教育を民営化するべきだと考える人もいる。

企業はこれらの議論に積極的に参加するべきなのか、それとも、利益を追求することが結果的にはいちばん社会への貢献につながると信じて、黙々と利益の追求に励むべきなのか。

企業の歴史からは、これらの問いを考えるうえでのヒントが得られる。

企業が政治に関与すると、身の丈をはるかに超えた大きな役割を担うことになりがちだ。

東インド会社は軍隊を創設して、ベンガル地方を征服したうえ、1世紀以上にわたって、インド亜大陸を統治して、自社の繊維貿易の利益を守ろうとした。

エクソンは数十年にわたり、米国の外交政策と環境規制に影響力を行使した。

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