歴史が教える企業が政治に関与すべきでない理由 企業の力を社会のために役立てるための指針

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現在、フェイスブックのサイトでは、わたしたちが何を見て、何を知るかはフェイスブックのアルゴリズムで決められており、市民の議論はその影響下にある。

ここからいえるのは、企業が社会の価値観を醸成するときには、少なくとも、十分に慎重になるべきであるということだ。企業がすることの影響は、個人がすることの影響とは比べものにならないぐらい大きい。

わたし自身は、企業は政治にはいっさい関わらないようにするべきだと考えている。共通善とは何かに関して、企業になんらかの根本的な知恵があるわけではない。ならば企業は、民主的な政府によって設けられた基準や、あるいはその期待に沿って行動するべきだろう。

遵守すべき資本主義の精神

これは個々の社員が政治に参加すべきではないという意味ではない。むしろ個々の社員は、それぞれひとりの市民として、積極的に政治に参加するべきだ。

政府が労働者や投資家や経済の利益のことを考えるのは、望ましいことだし、不可欠なことだともいえる。創業者も、資本家も、重役も、市民のひとりだ。

しかし、世論を操作したり、社会の目標を定めたりする手段として企業を使ったら、企業の性質を根底から歪め、あくまで共通善を促進するための道具だったものを、共通善とは何であるかを決めるものに変えてしまう。

これは資本主義の精神に反する。プレーヤーが自分に都合のいいように勝手にルールを決められるゲームのようなものだ。そんなゲームは避けるべきだろう。

(翻訳:黒輪篤嗣)

ウィリアム・マグヌソン テキサスA&Mロースクール教授

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William Magnuson

テキサスA&Mロースクールの教授で企業法を教えている。以前はハーバード大学で法律を教えていた。著書にBlockchain Democracy(未訳)がある。ウォール・ストリート・ジャーナルやワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ブルームバーグに寄稿している。テキサス州オースティン在住。

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