過去2000年の企業の目的
社会で広く信じられてきた考え方を覆すようなことを書くのがひとつの流行になっている。世の中の全員がじつは間違っていたと論じられることもあれば、まったく新しい洞察が提示されることも、世界が見た目よりも複雑であることが指摘されることもある。
しかし、社会で広く信じられてきた考え方は、だてに広く信じられてきたわけではない。そこには知恵が含まれている。いつも正しいとか、例外も条件もないということではない。
アリストテレスが政治哲学について述べているように、「それはほとんどの部分において正しい。おおよそ、大要において正しい」ということだ。古くから知られてきた真実を捨て去るのでなく、それを取り戻すことが最善の方策である場合もある。
本書がめざしたのは、過去2000年のあいだに人類が学んだことを明らかにすることだった。企業とは何か、企業は何のためにあるのかについて、これまでにどのような考え方があったのかを振り返り、それをなんらかの形で現代に生かそうと試みた。特に、ひとつの根本的な原則に注目した。すなわち、企業の目的は、今も昔も、共通善の促進にあるということだ。
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