プロ顔負け!「好き」を仕事にする主婦たち 注目を集める「ママ版AKB」

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ドリマムでは、メンバーのロールモデルとなるようなクリエイターをアドバイザーに迎え、作品づくりや価格設定など、活動をするうえでの相談ができる体制を整えるほか、ビジネスマナーや販売スキル、ディスプレー、税務などの研修や勉強会へ参加する機会を提供している。

また、作品のクオリティや売り上げアップを意識した仕組みが整えられており、企業からの依頼を集約してプロジェクトごとのユニットが結成される。所属クリエイターは、それぞれの目標に応じて、企業とのコラボ商品開発や店舗オープン、講師デビュー、起業などの道を切り開いていけるのだ。

書類審査とプレゼンで選抜

前席・左から1人目が株式会社ディーラリエの代表・岩見尚見さん。ママが家事や子育てなど日常で発揮しているマーケティング力、情報収集力、コミュニケーション力、判断力、創造力を社会で活かせるようプロデュースする

ここまで聞くと、すでにプロとして活躍しているママしか加入できないのではないか……。そんな印象を受けるが、そうではない。「メンバーを選出する時に重要視しているのは、“家族の理解を得られているか”と“やりたいことが明確であるか”の2点だけ」と岩見さん。

そのために、あえて書類審査とプレゼンによるオーディションというハードルを用意する。書類審査では、応募動機、商品やサービス内容、キャリア・資格、活動実績を問う。ただ「参加したい」という気持ちだけでは通過できない。キャリアや実績などを棚卸しし、目標を明確化して、それを書類できちんと表現する作業が求められる。ここでは、資格を取得しているかどうかもポイントのひとつ。「やりたい」という気持ちがあるから資格を取得するし、取得したからには「それを活かしたい」という気持ちにつながるため、向上心の高さを測る指標となるのだという。

書類審査を通過すれば、プレゼンが待っている。審査員とメンバーの前で3分間の時間を与えられ、商品やサービス内容、活動実績などとともに、かなえたい夢、それをかなえる意気込みなどをアピール。審査員からは「屋外のイベントへ出展する際、商品の湿度変化への耐久性も考慮していますか」「家族の理解は得られていますか」などの質問が飛び出す。

オーディションに挑む段階で、定刻どおりに集合場所に来ない、「やっぱりできません」と辞退するなどして脱落していく人が毎年10%ほどいるという。2012年から年に1度、メンバーを募集し、第1~4期までの応募総数は150組。毎期20組ほどが選出され、現在は80組が所属している。

本気度が重要であって、作品のクオリティは問題ではない。それはプロデュースで伸ばしていける部分だからだ。「手作りが好きだから。それで何かできたら」というレベルのママたちがメンバーとなり、活動していくうちに、自信をつけ、売り上げを意識するようになり、本気度が増し、夢や目標もさらに明確となっていく。

2015年1月開催のオーディションで第4期生として加入したペーパーデコレーション作家「ぺぱぼっくる」の見谷麗さんもそうだ。1歳と2歳のママで、2014年から作家活動を始めたばかりだった。

企業で営業職として働いていたが、出産を機に退職。子育てに専念するが、年子の子育ては想像を絶する慌ただしさだった。そんな見谷さんが安らいだのは子どもが眠った後のハンドメイドタイムだった。いつしか、好きなハンドメイドとママとしての視点を活かして何かしたいと考えるようになる。ペーパーデコレーション講師の資格を取得し、作家活動に向けて準備をしていた。

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